2025年8月2日発表 岡山大学が明かすコロナ後遺症の長期通院実態

コロナ後遺症長期通院

開催日:8月2日

コロナ後遺症長期通院
コロナ後遺症でどれくらいの人が長く通院してるの?
岡山大学の調査では、オミクロン株期のコロナ後遺症患者の52.2%が初診から半年以上、長期にわたり通院していることが明らかになりました。
男女でコロナ後遺症の症状に違いはあるの?
はい。女性は倦怠感、睡眠障害、記憶障害、しびれが多く、男性は倦怠感や頭痛が多い傾向があり、女性の方が多様な症状で長期通院する割合が高いです。

岡山大学におけるコロナ後遺症診療の現状

国立大学法人岡山大学は、2025年8月2日にオミクロン株期のコロナ後遺症に関する重要な研究結果を発表しました。この研究によると、岡山大学病院のコロナ後遺症外来を受診した患者のうち、半数以上(52.2%)が後遺症の初診から数えて半年(180日)以上の長期通院を必要としていることが明らかになりました。

この研究は、岡山大学病院 総合内科・総合診療科の櫻田泰江医員と、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 総合内科学の秋山博史大学院生、岡山大学学術研究院医歯薬学域(医)総合内科学の大塚文男教授らのグループによって行われました。研究では、通院期間と症状の長期化に関わる臨床的な特徴について検討されています。

【岡山大学】オミクロン株期のコロナ後遺症診療~半数以上で180日以上の長期通院が必要~ 画像 2

長期通院が必要な患者の特徴

研究結果によると、長期通院を必要とする患者は、男女比において女性の割合が高く(59.4%)、また3つ以上の多くの症状を有する患者の割合も女性が多いことが示されています。具体的には、以下のような症状が観察されました:

  • 女性:倦怠感、睡眠障害、記憶障害、しびれが多く見られました。
  • 男性:倦怠感や頭痛が多く報告されています。

また、長期通院が必要な患者では、初診時の身体的・精神的疲労、生活の質、抑うつを示すスコアがすべて重症であることが確認されました。これにより、コロナ後遺症の影響が患者の生活に深刻な影響を与えていることが分かります。

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研究の意義と今後の展望

櫻田医員は、今回の調査によって女性の方が辛い症状で悩む割合が高いことが明らかになったと述べ、同じ女性として寄り添う姿勢での診療の重要性を強調しています。彼女は、後遺症への理解が広がることで、病態解明や治療法の発展に寄与できるよう、今後も研究を続ける意向を示しました。

大塚教授は、コロナ感染を契機に治療が長引くコロナ後遺症となる可能性があるため、感染のピークが過ぎても感染対策への意識を持つことが重要であると述べています。これにより、患者が抱える症状の軽減に向けた取り組みが促進されることが期待されます。

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研究結果の詳細と論文情報

この研究成果は、2025年7月11日に国際学術雑誌「Journal of Clinical Medicine」に掲載されました。論文のタイトルは「Symptomatic trends and time to recovery for long COVID patients infected during the Omicron phase」で、著者には岡山大学の研究者が名を連ねています。

具体的な論文情報は以下の通りです:

論文名 掲載紙 著者 DOI URL
Symptomatic trends and time to recovery for long COVID patients infected during the Omicron phase Journal of Clinical Medicine Hiroshi Akiyama, Yasue Sakurada, Hiroyuki Honda, Yui Matsuda, Yuki Otsuka, Kazuki Tokumasu, Yasuhiro Nakano, Ryosuke Takase, Daisuke Omura, Keigo Ueda, Fumio Otsuka 10.3390/jcm14144918 https://doi.org/10.3390/jcm14144918

研究内容に関する詳しい情報は、岡山大学の公式サイトにて公開されています。特に、コロナ後遺症に関する理解を深めるための資料が提供されており、様々な研究結果がまとめられています。

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まとめ

岡山大学の研究によると、オミクロン株期におけるコロナ後遺症患者の半数以上が180日以上の長期通院を必要とし、特に女性において多くの症状が見られることが明らかになりました。これにより、コロナ後遺症の長期的な影響が患者の生活に及ぼす深刻な影響が再認識され、継続的な診療の重要性が強調されました。

以下に、本記事で取り上げた内容をまとめます:

項目 内容
研究機関 国立大学法人岡山大学
発表日 2025年8月2日
長期通院が必要な患者の割合 52.2%
女性の割合 59.4%
主な症状(女性) 倦怠感、睡眠障害、記憶障害、しびれ
主な症状(男性) 倦怠感、頭痛
論文名 Symptomatic trends and time to recovery for long COVID patients infected during the Omicron phase
掲載紙 Journal of Clinical Medicine
DOI 10.3390/jcm14144918

この研究は、コロナ後遺症の理解を深める重要な一歩であり、今後の治療法の発展に寄与することが期待されます。

参考リンク: