2025年7月調査:インドネシア特定技能人材の日本長期就労意識と課題
ベストカレンダー編集部
2025年8月1日 15:52
インドネシア特定技能調査
開催期間:7月10日〜7月14日

インドネシア特定技能人材の就労意識調査結果
ヒューマングローバルタレント株式会社が実施した最新の調査によると、インドネシアの特定技能人材が日本での長期就労を希望する割合は87%に達し、その中の34%が永住を検討していることが明らかになりました。この調査は、特定技能外国人の登録支援機関として、PT. HUMAN MANDIRI INDONESIAとの協力のもと、特定技能クラスの受講生を対象に行われました。
調査結果は、日本での就労を希望するインドネシア人材のニーズや懸念点を浮き彫りにしており、特に「差別や偏見」と「職場の人間関係」に対する不安が高いことが示されています。

調査の背景と目的
本調査は、日本での特定技能人材の採用を検討する企業や関係者に向けて、インドネシアの特定技能クラス受講生の就労に対する意識や指向を把握することを目的としています。調査結果は、特定技能制度を利用して日本での就労を希望する受講生の具体的なニーズや懸念点を分析し、企業が効果的な採用戦略や受け入れ体制を構築するための情報を提供します。

調査方法と対象者
調査は2025年7月10日から14日の期間に行われ、PT. Human Mandiri Indonesiaの特定技能クラスを受講中の59名を対象にアンケート形式で実施されました。回答者の属性としては、主に24歳までの若手が70%を占め、男女比は6:4となっています。また、日本語レベルはN4またはN5が多く、最終学歴は「一般高校」が37%、「4年制大学」が27%となっています。

調査結果の詳細

1. 日本での就労を志望する理由
受講生が日本での就労を希望する主な理由は、以下の通りです。
- キャリアやスキルを向上させたい:78%
- 日本の文化や生活への興味:63%
- 給料:63%
特に「将来、特定技能2号を取得して長く働きたい」との意向が69%に上り、多くの受講生が日本での安定したキャリア形成を望んでいることが分かります。また、半数以上(53%)が「5年以上」の長期就労を希望し、約3人に1人(34%)が「永住も検討したい」と回答しています。

2. 重視する就労条件と勤務エリア
日本での就労において重視する条件は、以下のように多岐にわたります。
- 給与・待遇:83%
- 福利厚生の充実:71%
- 語学力の向上機会:69%
- 職場の人間関係・雰囲気:64%
- キャリアアップの機会:64%
勤務エリアについては、約半数(51%)が「こだわらない」と回答し、理由としては「場所よりも信頼できる会社を重視したい」や「日本の多様な文化を体験したい」といった柔軟な姿勢が見られます。一方で、都市部希望者は利便性や文化的なアクセスを重視し、地方希望者は経済的メリットや静かな環境を求めています。

3. 就職活動における不安と希望する残業時間
就職活動における最大の不安は、以下の通りです。
- 差別や偏見がないか心配:61%
- 人間関係に不安がある:58%
- 登録支援機関や企業からのサポートが得られるか不安:37%
- 日本語能力に自信がない:36%
- 給与や生活費が足りるか不安:32%
希望する月間残業時間は、「10~20時間」(30.4%)と「20~30時間」(28.6%)が約6割を占めており、過度な残業を避けつつも、ある程度の残業は許容する傾向が見られます。

調査結果の考察
今回の調査結果から、インドネシアの特定技能人材育成クラスの受講生は、日本での就労に対して非常に高い意欲を持っていることが明らかになりました。彼らは短期的な労働に留まらず、特定技能2号の取得や永住を視野に入れた長期的なキャリア形成を志向しています。キャリアやスキルの向上、給与や待遇、日本の文化への興味が主な動機であり、福利厚生や良好な人間関係といった非経済的要素も重視されています。
特に、「差別や偏見」「人間関係への不安」といった心理的な懸念は、日本の企業や社会が向き合うべき重要な課題と考えられます。

まとめ
本調査の結果を以下の表にまとめました。
項目 | 割合 |
---|---|
日本での長期就労志向 | 87% |
永住を検討している | 34% |
キャリアやスキルを向上させたい | 78% |
差別や偏見への不安 | 61% |
希望する残業時間(10~20時間) | 30.4% |
調査結果は、インドネシア特定技能人材の日本での就労に対する意識を深く理解するための貴重な資料となります。今後は、これらのニーズや懸念に応じた支援体制の整備が求められるでしょう。
参考リンク: