7月29日開催|出雲流庭園の国際展開シンポジウム

日本庭園文化シンポジウム

開催日:7月29日

日本庭園文化シンポジウム
出雲流庭園って何が特別なの?
出雲流庭園は島根県出雲地方に独自に伝わる庭園様式で、2000件以上の民家で共通の石や植栽配置を持ち、地域の暮らしと密接に結びついた珍しい文化資産です。
このシンポジウムでは何を話すの?
日本文化の海外発信や庭園の文化的価値、そして“見立て”という日本独自の感性表現の国際的理解について、専門家が議論し未来への継承方法を探ります。

日本庭園文化の国際展開

株式会社タケダ造園(島根県出雲市、代表取締役:竹田和彦)は、出雲に伝わる独自の庭園文化「出雲流庭園」を基にした組立式日本庭園「楽庭-RAKUTEI-」の開発を進め、フランス・パリへの輸出・国際展開に向けた取り組みを開始しました。このプロジェクトは、インバウンドランキング最下位に位置していた島根県から、日本文化の新たな形を世界に発信することを目指しています。

タケダ造園は、2025年7月29日(火)に大阪南港でシンポジウムを開催し、日本文化の海外発信の可能性を探ることを目的としています。シンポジウムでは、日本文化、ブランディング、観光、華道、経営の専門家によるパネルディスカッションが行われます。

世界に誇る日本の庭園文化をヨーロッパに展開 画像 2

出雲流庭園の歴史とその価値

観光庁によるインバウンド人気ランキングで、長年最下位圏にあった島根県。この地方の魅力がまだまだ世界に知られていない中、タケダ造園は「庭園」という文化資産に新たな可能性を見出しました。出雲市に本拠を構えるタケダ造園は、創業以来40年、地域に根差した庭づくりを手掛けてきた企業です。

特に注目されたのは、出雲地方に独自に伝わる「出雲流庭園」です。この庭園群は、2000件以上の民家において、石や植栽の配置がほぼ共通した様式を保ち続けており、全国的に見ても極めて珍しい文化現象となっています。この庭園の美しさは、地域に根差した「暮らしと庭」の密接な関係を物語ります。

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不昧公の美意識と文化政策

出雲流庭園のルーツを辿ると、江戸時代に松江藩を治めた大名茶人・松平不昧公の美意識に行きつきます。不昧公は、茶の湯や和菓子、茶器、書画、庭園に至るまで、日本文化の総合芸術としての茶道の精神を貫いた人物です。彼の思想は、藩士や町人、農民にまで浸透し、庭園様式として民間に広がりました。現在もその名残が出雲地方の庭園に息づいています。

庭園は単なる景観ではなく、時代の哲学や信仰、もてなしの心が凝縮されています。タケダ造園では、この「出雲流庭園」の精神性と歴史的価値に着目し、日本庭園を通じて日本の伝統文化を世界へ発信する取り組みを始めています。

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ヨーロッパでの実践調査

2025年7月、代表自らがフランス・パリを訪問し、現地の住宅関係者、美術関係者、文化施設運営者へのヒアリングを実施しました。その結果、日本庭園に対する強いニーズが確認され、実際に複数の導入候補地との協議も始まっています。特に、茶道・華道と連動した文化イベントや、精神的な安らぎを提供する空間としてのニーズが高まっていることが分かりました。

「いま、日本庭園は求められている」との実感を得たタケダ造園は、今後の展望を広げています。

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シンポジウムの内容と目的

シンポジウムでは、日本文化をどのように世界に届けるかという実践的な視点だけでなく、“見立て”という日本独自の感性価値表現に注目し、学術的観点からその評価・表現方法のあり方も検証します。

具体的には、以下のような問いをもとにディスカッションが展開されます。

  • 庭園のどのような要素が“文化的価値”として捉えられるのか
  • “見立て”という感性表現は、国際的な文脈でどう理解されるのか

これにより、単なる商業輸出ではなく、“文化の意味”を可視化しながら、未来へ継承していく方法論を探求します。

パネルディスカッションと参加者の紹介

シンポジウムのパネルディスカッションでは、各分野の専門家が集まり、日本文化の海外発信の可能性を探ります。コーディネーターには、関西学院大学専門職大学院兼任講師の勝瀬典雄氏が務め、以下のパネルメンバーが参加します。

  1. 相島淑美(基調講演講師) – 神戸学院大学教授
  2. 徳持拓也 – 一般財団法人池坊華道会 事業部長 兼 東京事務所長
  3. 竹延幸雄 – 株式会社KMユナイテッド 代表取締役社長
  4. 森 一彦 – 京都先端科学大学院国際学術研究院教授
  5. 山川拓也 – 流通科学大学人間社会学部観光学科准教授

これらの専門家が集まり、日本文化の価値を共創するための議論を行います。

シンポジウム開催概要

シンポジウムの詳細は以下の通りです。

項目 内容
日時 2025年7月29日(火)13:00~16:00
場所 大阪南港 ATCビル ITM棟9階 セミナールーム(オンライン同時開催)
参加費 2,000円(資料代)
申込締切 7月28日(月)
主催 日本感性工学会 感性価値創造研究部会
共催 株式会社タケダ造園
後援 島根県、出雲市、出雲流庭園保存会、一般社団法人未来を創る新教育推進会

このシンポジウムは、出雲の文化をヨーロッパに発信する第一歩であり、地方発・日本文化輸出の新たなモデルケースとなることを目指しています。将来的には、同じ志を持つ全国の造園業者とも連携し、日本各地の地域性を活かした庭園を世界へ届けるネットワークを構築する意向です。

このように、日本庭園文化の国際展開は、地域の文化を世界に広める重要なステップであると言えます。