7月17日コミックシーモア20周年と電子コミック市場の未来
ベストカレンダー編集部
2025年7月17日 10:33
コミックシーモア20周年
開催日:7月17日

マンガ市場の20年の変遷
2025年7月17日、NTTソルマーレ株式会社は日本最大級の電子コミックサービス「コミックシーモア」の20周年を迎え、京都国際マンガミュージアムの学芸員である倉持佳代子氏の監修のもと、マンガ市場の20年の変遷と今後のトレンド分析を行いました。この調査により、スマートフォンの普及やコロナ禍におけるライフスタイルの変化が、電子コミック市場における大きな転換点となっていることが明らかになりました。
コミックシーモアの読者データや売れ筋タイトルの分析を基に、次世代のトレンドとして注目されているのは以下のジャンルです:
- 自立したヒロインが主人公のロマンス・ファンタジー
- 夫婦問題や復讐ドラマ
- 社会的制裁をテーマにした青年復讐もの

ガラケー時代(2004~2013年)
電子コミックの黎明期にあたるこの時代では、書店では手に取りにくいタイトルやジャンルの作品が多く読まれる傾向がありました。特に官能系やお色気系、愛憎劇を描いた作品が人気を集めていました。実際、当時のランキング1位は『まんがグリム童話 金瓶梅』で、最盛期の月間DL数は約30万DLという驚異的な数字を記録しています。
この時期、携帯電話という個人の閉じた空間で読むスタイルが、周囲の目を気にして購入をためらっていた層の需要を捉えました。電子コミックならではの「人目を気にせず、自分の好きなものを自由に読む」という新たな読書体験が生まれ、これが爆発的な普及の契機となったのです。
“ケータイマンガ”は、主に1コマごとに切り取られ、ボタンを操作しながらページを読み進めるもので、紙媒体とは違う独自のマンガ読書体験を読者に提供しました。”

スマートフォンの普及(2013年~)
スマートフォンの急速な普及に伴い、電子書籍プラットフォームが次々と日本市場に参入しました。これまで限られた層に利用されていた電子書籍が、より多くのユーザーにとって身近な存在となり、電子コミック市場は一気に拡大しました。
この時期からアニメ化や映画化といったメディア展開されるビッグタイトルや王道ラブストーリーが電子コミックのランキングでも上位を占めるようになり、電子コミックがより広い世代に受け入れられるようになりました。スマートフォンでの閲覧に最適化された縦読みスタイルのマンガや、デジタル発のヒット作も次々と生まれました。
スマートフォンの浸透により、各出版社がマンガアプリの配信を続々開始し、ボーンデジタルの作品も人気を博していく時代です。”

コロナ禍・アフターコロナ(2020年~)
コロナ禍以降、外出自粛やリモートワークの拡大により、電子コミックの利用者層は大きく広がりました。出版の遅延やアニメの公開自粛といった影響があった一方で、「鬼滅の刃」の大ヒット時には紙の重版が追いつかない中、デジタル購入が急増しました。
コミックシーモアの売上は、コロナ禍前後で約250%伸長しました。また、巣ごもり需要で少年・児童マンガ誌の無料デジタル公開も話題になりました。この時期には異世界転生や中世風ロマンス・ファンタジーの多い「なろう系」など、デジタル発の作品が上位にランクインし始めました。
2020年は、コロナの巣ごもり需要で一気に売上をのばし、紙と電子をあわせたマンガ市場が、ピークだった1995年の売上を更新しました。”

未来のトレンド分析
20年にわたり電子コミックサービスを運営してきた「コミックシーモア」は、膨大な読者行動データやユーザーレビューをもとに、現在注目を集めているジャンルや今後のトレンドの兆しを分析しました。注目されているジャンルは以下の通りです:
- 自立ヒロインが輝く「ロマンス・ファンタジー」
近年、自立したヒロインが自ら人生を切り開く作品が台頭しており、30代以下の読者が半数以上を占めています。 - 共感が熱い「夫婦問題・復讐ドラマ」
家庭内の問題を描く作品が支持を集めており、女性主人公が我慢を重ねた末に離婚や復讐を果たす姿に共感が寄せられています。 - 社会的制裁をテーマにした青年復讐もの
過去のいじめや職場でのパワハラに対し、主人公がSNSの告発や情報操作を用いて加害者に制裁を加えるスタイルが注目されています。

NTTソルマーレ株式会社と京都国際マンガミュージアム
NTTソルマーレは、国内最大級の総合電子書籍ストア「コミックシーモア」の運営を行い、オリジナルブランド「シーモアコミックス」によるコミック制作や、全米最大級の電子マンガ配信ストア「MangaPlaza」の運営などを展開しています。
一方、京都国際マンガミュージアムは、2026年に開館20周年を迎える予定で、世界的にも注目されるマンガ資料の収集・保管・公開を行っています。マンガ文化に関する調査研究や展示、イベントの開催など、多角的な活動を展開しています。
時代 | 特徴 | 注目ジャンル |
---|---|---|
ガラケー時代(2004~2013年) | 電子コミック黎明期、個人の閉じた空間で読むスタイルが人気 | 官能系、お色気系、愛憎劇 |
スマートフォンの普及(2013年~) | スマートフォンの普及により市場が拡大 | アニメ化作品、デジタル発のヒット作 |
コロナ禍・アフターコロナ(2020年~) | 巣ごもり需要で利用者層が拡大 | 異世界転生、中世風ロマンス・ファンタジー |
このように、マンガ市場は時代の変化とともに進化し続けています。今後のトレンドにも注目が集まる中、電子コミックがどのように発展していくのかが期待されます。
参考リンク: