2030年代実用化目指すHelical FusionのHelix Program発表

Helix Program発表

開催日:7月11日

Helix Program発表
ヘリカル方式の核融合炉って何がすごいの?
ヘリカル方式は、24時間365日安定稼働し、投入エネルギーを超える正味発電が可能な唯一の技術で、効率的なメンテナンスも実現できる点が特徴です。
Helix Programっていつまでに何を目指してるの?
2030年代に世界初の商用核融合炉の実用発電を達成することを目標に、定常運転・正味発電・保守性の三要件を満たす核融合炉の開発を進めています。

Helical Fusionが発表した「Helix Program」と資金調達について

株式会社Helical Fusionは、2025年7月11日に、世界初の商用利用可能な核融合炉の実現を目指す新たな基幹計画「Helix Program」を発表しました。このプログラムは、商用核融合炉の三要件を満たす世界で唯一の開発プログラムであり、2030年代に「実用発電」を達成することを目指しています。

Helical Fusionは、全日本・全分野横断チームとの連携を強化し、今回の発表を通じて新たに約23億円の資金調達を完了しました。これにより、累計調達額は約52億円に達しました。この資金はHelix Programの開発資金として活用され、商用炉実現に向けた取り組みを加速させます。

世界初の商用利用可能な核融合炉実現を目指すHelical Fusion、2030年代に「実用発電」を達成する「Helix Program」および資金調達を発表 画像 2

ヘリカル型核融合炉とその技術的特長

Helical Fusionが開発する「ヘリカル型核融合炉」は、岐阜県にある核融合科学研究所の研究成果を基に、70年にわたる日本の核融合研究の知見を引き継いでいます。この技術は、以下の三要件を満たすことが求められます。

  1. 定常運転(24時間365日運転可能な安定性)
  2. 正味発電(投入エネルギーを上回るエネルギー出力)
  3. 保守性(短期間で効率的なメンテナンス)

現在、世界中で50以上のプロジェクトが進行中ですが、これらの三要件を「今ある技術」で実現可能なのは、ヘリカル方式を用いるヘリカル型核融合炉のみです。この技術は、プラズマを安定的に保持する能力に優れており、核融合反応を起こす高温のプラズマを効率的に管理することができます。

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フュージョンエネルギーの重要性と市場の見通し

フュージョンエネルギーは、2050年までに世界の人口が約17億人増加すると予測される中で、急増する電力需要に応えるための重要な技術です。太陽のエネルギーを利用するこの方法は、クリーンで効率的な発電を可能にし、海水などから豊富に採取可能な燃料を使用することで、持続可能なエネルギー供給の実現が期待されています。

核融合プラントの建設および電力市場は、2050年までに年間5500億ドル規模に成長するとの試算もあります。日本は、トカマク型、ヘリカル型、レーザー型といった多様な方式の研究が進んでおり、これを活かした産業創出が期待されています。

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Helix Programの詳細と今後の展望

Helix Programは、商用核融合炉の三要件をすべて満たすための開発プログラムです。具体的には、定常・正味発電を実現する装置「Helix KANATA」と、その前段階となる統合実証装置「Helix HARUKA」を開発します。これにより、商用化へのステップを明確にし、開発を進めています。

特に、Helix KANATAでは、ヘリカル方式の形状を活かした設計を採用し、1年間の連続運転と3ヶ月以内で完了するメンテナンスを実現することで、約80%の稼働率を見込んでいます。このように、Helical Fusionは技術革新を進めることで、商用化に向けた道筋を確実にしています。

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出資者と事業連携の広がり

今回の資金調達には、SBIインベストメントや慶應イノベーション・イニシアティブなど多くの出資者が参加しました。これにより、Helical Fusionは日本全国の多様な産業からの資本と事業への参画を得ることができ、フュージョンエネルギー産業の創出へ向けた体制を強化しています。

出資者の中には、岡野バルブ製造や株式会社山田商会ホールディングなど、具体的な事業連携を進める企業も含まれています。これにより、Helical Fusionは日本の産業ランドスケープを大きく変える可能性を秘めています。

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まとめ

項目 内容
会社名 株式会社Helical Fusion
発表日 2025年7月11日
プログラム名 Helix Program
資金調達額 約23億円(累計52億円)
商用核融合炉の三要件 定常運転、正味発電、保守性
目指す実用化時期 2030年代

Helical Fusionは、商用核融合炉の実現に向けて着実に進展を遂げており、今後の展開が注目されます。日本から世界をリードするエネルギー産業の創出に向けた取り組みは、持続可能な未来を築くための重要な一歩となるでしょう。