2025年上半期 建設業倒産が過去10年で最多ペースに増加
ベストカレンダー編集部
2025年7月6日 09:47
建設業倒産増加動向
開催日:6月30日

建設業の倒産動向の概要
2025年上半期における「建設業」の倒産件数は986件に達し、前年同期の917件を上回る結果となりました。この数字は4年連続での増加を示しており、過去10年間で最も多いペースでの倒産が続いています。今後の推移によっては、通年で2000件台に達する可能性もあり、業界全体の厳しい状況が浮き彫りになっています。
株式会社帝国データバンクによる調査によれば、倒産の原因としては、急激な資材価格の高騰や人手不足が大きく影響しているとされています。特に中小零細企業においては、賃金引き上げの余力が乏しく、経営が厳しい状況が続いています。

倒産件数の詳細分析
2025年6月30日までの集計結果によると、建設業の倒産は負債1000万円以上、法的整理によるものが対象となっています。上半期の倒産件数は986件であり、その内訳は以下の通りです。
- 前年同期比:917件 → 986件(7.5%増加)
- 過去10年での最多件数更新
- 通年での2000件台到達の可能性
このデータからも、建設業界の厳しい現状が伺えます。特に、2025年の上半期においては、建設業の倒産全体のうち12.0%に相当する118件が「物価高」に起因しています。これは、鉄骨や木材、住設機器などの価格高騰が影響していることを示しています。
倒産の主な要因
建設業の倒産にはいくつかの要因が絡んでおり、その中でも特に目立つのは受注不振や資材価格の高騰、人手不足です。具体的には、以下の要因が挙げられます。
- 1. 資材価格の高騰
- 鉄骨や木材、住設機器などの価格が急激に上昇し、売価に反映できないために事業継続が困難となるケースが多い。
- 2. 人手不足
- 職人の確保が難しく、特に若年層のなり手不足や熟練職人の高齢化が影響している。
- 3. 後継者難
- 経営トップの後継者が決まらず、事業の継承ができないために倒産に至る例が増加している。
具体的な事例としては、新栄塗装工業が挙げられます。負債9000万円で2025年5月に破産した同社は、人件費や資材の高騰が影響し、収益性が悪化しました。これにより大幅な赤字を計上し、事業継続を断念するに至りました。
今後の展望と課題
建設業界は、資材価格の高止まりや人手不足が続く中で、多くの熟練職人が高齢を理由に引退する見込みです。このため、今後も人手不足が深刻化することが予想され、業界全体の経営環境は依然として厳しい状況が続くでしょう。
特に中小建設業においては、職人の確保に向けた賃上げが求められる一方で、賃金引き上げの余力が乏しいため、倒産件数の増加が続く可能性があります。これにより、持続可能な経営を実現するためには、業界全体での取り組みが必要です。
要因 | 具体的な影響 |
---|---|
資材価格の高騰 | 事業継続が困難になるケースが増加 |
人手不足 | 施工力の低下や工期延長 |
後継者難 | 事業継承ができず倒産に至る |
以上のように、建設業界は複数の要因が重なり合い、厳しい状況が続いています。今後の動向を注視し、業界全体での対応が求められる時期に来ています。