7月30日発売『翠雨の人』女性科学者猿橋勝子の生涯を描く感動長編
ベストカレンダー編集部
2025年7月3日 18:42
『翠雨の人』発売
開催日:7月30日
伊与原新の新作『翠雨の人』が描く女性科学者の生涯
2025年7月30日に株式会社新潮社から刊行される『翠雨の人』は、著者伊与原新が構想に10年を費やした作品であり、実在の女性科学者・猿橋勝子の波乱万丈な人生を描いています。伊与原新は、今年1月に『藍を継ぐ海』で第172回直木賞を受賞し、NHKドラマ「宙わたる教室」の原作でも話題を呼んでいる作家です。
本書は、科学を信じ抜いた女性の姿を描く感動の長篇小説であり、紫陽花と雨に彩られた書影も公開されています。猿橋勝子は、少女時代から「雨とは何だろう。なぜ降るのだろう」といった素朴な疑問を抱き、キュリー夫人に憧れて理系の道を歩み始めました。彼女の物語は、ただの科学者の伝記ではなく、女性が科学の世界でどのように挑戦し、成功を収めたのかを示す貴重な資料となっています。
猿橋勝子の生涯と業績
猿橋勝子は1920年に東京で生まれ、東京府立第六高等女学校を経て、日本初の女性のための理系専門学校である帝国女子理学専門学校を卒業しました。彼女は中央気象台研究部で三宅泰雄から指導を受け、科学の道を歩み始めます。特に1954年のビキニ水爆実験で降った「死の灰」による放射能汚染の実態を究明した研究は、核実験の抑止に影響を与えたとされています。
勝子は1980年に「女性科学者に明るい未来をの会」を設立し、第一線で活躍する女性科学者を表彰する「猿橋賞」を創設しました。彼女は2007年に逝去しましたが、その業績は今なお多くの人々に影響を与えています。
猿橋勝子の研究とその影響
猿橋勝子の研究は、科学と戦争の関係を問い続けるものでした。特にビキニ水爆実験における放射能汚染の測定は、国際社会において重要な意味を持ちました。彼女の研究成果は、アメリカが主張するよりも深刻な放射能汚染が存在することを証明し、核実験の抑止につながる影響を与えました。
このような彼女の業績は、ただの科学的な成果にとどまらず、社会的な変革をも促すものでした。猿橋勝子は女性科学者の先駆者として、後の世代に多大な影響を与え続けています。
著者伊与原新のプロフィール
伊与原新は1972年に大阪で生まれ、神戸大学理学部を卒業後、東京大学大学院理学系研究科で地球惑星科学を専攻し博士課程を修了しました。彼の作家としてのキャリアは、2010年に『お台場アイランドベイビー』で横溝正史ミステリ大賞を受賞したことから始まりました。
その後、2019年には『月まで三キロ』で新田次郎文学賞、静岡書店大賞、未来屋小説大賞を受賞し、2024年には『宙わたる教室』が第70回青少年読書感想文全国コンクール課題図書に選出され、NHKでドラマ化されました。2025年には『藍を継ぐ海』で直木賞を受賞し、名実ともに著名な作家となっています。
著者からのメッセージ
伊与原新は、「彼女の人生だけはこの手で書きたい」と語っています。これは、猿橋勝子の人生が特別なものであり、彼女の業績を広めることが重要だと感じているからです。著者の情熱が込められた本作は、読者に深い感動を与えることでしょう。
書籍の詳細情報
『翠雨の人』の書籍データは以下の通りです。
| タイトル | 翠雨の人(すいうのひと) |
|---|---|
| 著者名 | 伊与原新 |
| 発売日 | 2025年7月30日 |
| 造本 | ハードカバー |
| 定価 | 1,980円(税込) |
| ISBN | 978-4103362159 |
本書は、女性科学者の生涯を通じて、科学の重要性や女性の社会進出について考えさせられる作品です。猿橋勝子の情熱と業績を知ることで、科学の世界における女性の役割についての理解が深まることでしょう。詳細は新潮社の公式サイトでも確認できます。
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