2025年7月3日設立のデジタル証券特化型「オルタナ信託」とは？

デジタル証券特化型「オルタナ信託」の設立について

2025年7月3日、三井物産デジタル・アセットマネジメント株式会社（以下「MDM」）と三井住友信託銀行株式会社（以下「三井住友信託銀行」）は、新たにデジタル証券に特化した信託会社「オルタナ信託株式会社」（以下「オルタナ信託」）を設立することを発表しました。この新会社は、実物資産と個人投資家をつなぐ信託とAIを活用したデジタル証券化を通じて、アセットオーナーの資金調達を実現し、オルタナティブ投資の民主化を加速することを目指しています。

オルタナ信託は、デジタル証券（ST：Security Token）の発行に特化した受益証券発行信託の受託に特化した信託会社として設立され、MDMの金融に特化したAIなどのデジタル技術と三井住友信託銀行の信託受託に関する豊富な知見を融合し、効率的かつ迅速な信託受託を行うことを目的としています。

オルタナ信託の役割と目的

オルタナ信託は、デジタル証券化スキームにおいて受託者として、資産運用会社や証券会社と高度に連携し、デジタル証券の組成を進める役割を担います。具体的には、以下のような機能を提供し、デジタル証券市場の発展に寄与します。

• デジタル証券の受託業務: オルタナ信託は、デジタル証券の発行に必要な受託業務を専門的に行います。
• 資産運用の効率化: MDMのAI技術を活用し、運用業務の効率化を図ります。
• 個人投資家への新たな投資機会の提供: 安定した実物資産への投資機会を提供し、個人投資家の資産運用をサポートします。

このように、オルタナ信託はデジタル証券市場を支える重要な役割を果たすことを目指しています。

MDMと三井住友信託銀行の連携

MDMは、2020年に設立されて以来、「預金でもない、株でもない、新しい投資の選択肢」を掲げ、オルタナティブアセットの取得・運用と、それらを裏付けとしたデジタル証券の販売を一貫して行う国内のリーディングカンパニーです。これまでに、2021年12月の初号ファンド組成以降、外部証券会社経由で5本、自社サービス「ALTERNA」で12本の計17本のファンドを提供しており、個人投資家からの資金調達を含めた総運用残高は2,000億円を超えています。

一方、三井住友トラストグループは「託された未来をひらく」というパーパスのもと、専門的な信託機能を活用して「資金・資産・資本」の好循環を実現するために、デジタル証券化分野でも積極的に取り組んでいます。

オルタナ信託の設立に伴い、MDMと三井住友信託銀行は、デジタル証券市場の活性化に向けた業務提携を締結しました。この提携により、両社は以下のような取り組みを進めていくことに合意しています。

1. 共同経営・人材連携: オルタナ信託の設立および共同経営を通じて、専門人材の派遣とノウハウ共有によるマネジメント体制を強化します。
2. 商品組成・アセット供給・ファイナンス: ALTERNAを活用した商品組成と共同提案、三井住友信託銀行が保有する債権等アセットの紹介、ファイナンス提供と販売ネットワークの活用を行います。

今後の展望と初年度の目標

オルタナ信託では、初号案件を含む複数のプロジェクトを現在準備中であり、今後順次公表していく予定です。初年度には1,000億円規模のデジタル証券の組成を想定しており、5年後には累計1兆円の受託残高を目指す計画です。

初期段階では不動産を中心に展開し、その後は不動産以外のオルタナティブアセットや社債、三井住友信託銀行が保有する債権等アセットなど、より多様なアセットクラスへの展開も視野に入れています。また、MDM以外の資産運用会社からの信託受託も進める方針です。

オルタナ信託の概要と連絡先

オルタナ信託の基本情報は以下の通りです。

デジタル証券を通じた資金調達に関心のある資産運用会社や事業会社、デジタル証券の引受・募集に取り組みたい証券会社は、オルタナ信託の公式サイトからお問い合わせが可能です。

このように、オルタナ信託はデジタル証券市場の発展に向けた重要な一歩を踏み出し、個人投資家に新たな投資機会を提供することを目指しています。今後の展開に注目が集まります。