2026年卒高卒採用、7割超が初任給アップ予定と求人増加の動向

26卒高卒採用の動向と企業の意識変化

2026年3月卒業予定の高校生（以下、26卒）の高卒採用に関する最新の動向を、株式会社ジンジブが実施したアンケートや厚生労働省のデータを基にまとめました。少子化が進む中で、企業の高卒採用に対する意識がどのように変化しているのか、また、初任給の引き上げや求人募集の増加がどのように進んでいるのかを探ります。

調査は、2025年1月28日から2月25日までの期間に行われた25卒振り返りアンケートと、2025年5月19日から6月2日までの期間に行われた26卒予定アンケートから成り立っています。これにより、企業の採用計画や意識の変化が明らかになりました。

高卒求人倍率の上昇と採用競争の激化

現在の高卒採用市場は「売り手市場」となっており、厚生労働省のデータによると、2025年3月末の高卒採用の求人倍率は4.1倍に達しています。これは約12.1万人の就職者に対し、約49.9万人の求人があったことを示しています。企業が高校生の新卒人材を強く求めている状況が伺えます。

ジンジブの25卒振り返りアンケートによると、約7割の企業が採用計画に対して未達と回答しており、計画通りに採用できた企業はわずか24.6%に留まりました。この背景には、他社の求人増が影響しており、企業間の人材採用競争が激化していることが読み取れます。

26卒の求人募集人数の増加予測

26卒の採用動向に関するアンケートでは、求人募集人数を「増やす」と回答した企業は33.5%に達し、「再開する」「新たに始める」を含めると36.2%になります。これに対し「減らす」と回答した企業はわずか3.3%であり、高卒採用に対する企業の意欲が高まっていることがわかります。

このような傾向は、25卒で充足しなかったためといった理由からも明らかで、企業は高卒人材の採用にますます注力しています。

高校生の進路選択の変化と企業の対応

企業の採用意欲が高まる中で、高校生の進路選択にも変化が見られます。厚生労働省のデータによると、就職希望者数は前年比で675人増加し、特に北海道、宮城、茨城、千葉など広範囲での増加が確認されています。

企業が高卒人材を求める理由としては、若さや体力、素直さといった点が高く評価されていることが挙げられます。また、高卒採用を実施する理由には「若手人材の層を厚くするため」や「人材不足のため」が多く見受けられます。

初任給の引き上げと生活支援の強化

企業は、高校生を採用するための待遇向上にも力を入れています。26卒予定のアンケートによると、72.1%の企業が初任給の引き上げを予定しており、その理由には「物価上昇に伴い社員の生活を支えるため」や「社員の定着のため」が含まれています。

また、新生活支援の制度も強化されており、社員食堂や昼食代支給、住宅補助、寮・社宅完備といった福利厚生が充実しています。これにより、企業は若手人材の定着を図っています。

就職活動の多様化と企業の戦略的な取り組み

高校生の就職活動は、スマートフォン世代に合わせた多様化が進んでいます。企業側も早期キャリア教育や仕事体験を通じて、「人的資本経営」を意識した取り組みを強化しています。

応募のきっかけとしては、学校の求人票が68.1%と最多ですが、自社HPや求人サイト、SNSなどのデジタルツールからの応募も増加しています。企業は採用動画や公式SNSを通じて、デジタルでの情報発信を重視しています。

入社後の育成とミスマッチ防止への取り組み

企業は採用活動だけでなく、入社後の育成にも力を入れています。高卒社員のキャリアアップ支援として、資格取得の支援やキャリア面談、研修・リスキリングの拡充が行われています。

また、ミスマッチを防ぐために、業界についての本音を伝えたり、職場見学の機会を提供するなど、実践的な体験の場を設ける工夫がされています。これにより、入社後のギャップを減らす努力がなされています。

まとめ：令和の高校就活アップデート

2026年3月卒の高卒採用市場は、求人募集を増やすという回答が36.2%であり、今後の求人活動の過熱が予想されます。企業は初任給の賃上げや入社後の生活支援、キャリア育成支援を通じて、若手人材の採用と定着に向けた「人的資本経営」を進めています。

また、デジタルツールの活用や体験型プログラムを通じて、高校生へのアプローチを多角化し、就職後のミスマッチ防止に努めています。高校側も企業との接点機会を増やし、求人情報のDX化を進めています。

これらの変化は、高校生のキャリアの歩み方に新たな可能性をもたらすものであり、今後の就職活動における重要な要素となるでしょう。