2025年6月20日発表 岡山大学が半導体PN接合の新分析技術を開発

半導体新分析技術発表

開催日:6月20日

半導体新分析技術発表
岡山大学の新しい分析手法って何がすごいの?
岡山大学の新技術は、非破壊・非接触でシリコンウェハ内のPN接合の深さをナノメートル精度で測定可能。三次元LSIなどの先端半導体開発に役立つ画期的な分析手法です。
この技術は半導体産業にどう影響するの?
この技術は製造工程の信頼性向上や省エネルギーに貢献し、三次元LSIなどの先進デバイス開発を支えることで、半導体産業の革新と競争力強化に寄与します。

岡山大学が最先端半導体技術開発に新たな分析手法を提供

国立大学法人岡山大学は、2025年6月20日午後3時(日本時間)に、シリコンウェハに埋め込まれたPN接合に対する新たな分析手法を発表しました。この技術は、三次元LSIなどの最先端半導体デバイスの開発に貢献するものであり、特に非破壊かつ非接触で、ナノメートル精度の深さ推定を可能にします。

この研究は、岡山大学とライス大学、サムスン電子、日本サムスンによる国際研究グループによって行われました。具体的には、フェムト秒レーザーを用いてPN接合から放射されるテラヘルツ波を観察することで、ウェハ内部のPN接合の深さを簡単に推定することができる技術が開発されたのです。

【岡山大学】最先端半導体技術開発に新たな分析手法を提供 画像 2

新しい分析手法の概要

新たに提案された分析手法は、PN接合の光励起による電子の動きとテラヘルツ波放射の関係を説明する単純化モデルに基づいています。このモデルにより、電子の動きや内部電界などの情報を抽出することが可能となり、ウェハ表面近傍に浅く形成されたPN接合の深さをナノメートル分解能で定量的に推定することができます。

この技術の利点は、従来の半導体製造工程における信頼性や省エネルギー環境にも寄与する点です。特に、三次元LSIなどの先進的な半導体デバイスの開発において、包括的な測定ソリューションを提供することが期待されています。

【岡山大学】最先端半導体技術開発に新たな分析手法を提供 画像 3

研究の詳細

研究チームは、PN接合から放射されるテラヘルツ波と光励起された電子の複雑な動きを関連づけるための単純化したモデルを提案しました。このモデルによって、PN接合に関する様々な情報を抽出することができ、従来の手法に比べて大幅に効率的な分析が可能となります。

具体的な研究成果は、Springer Nature出版の「Light: Science & Applications」に掲載されており、以下の論文情報が提供されています。

  • 論文名:Non-contact and nanometer-scale measurement of PN junction depth buried in Si wafers using terahertz emission spectroscopy
  • 掲載紙:Light: Science & Applications
  • 著者:Fumikazu Murakami, Shinji Ueyama, Kenji Suzuki, Ingi Kim, Inkeun Baek, Sangwoo Bae, Dougyong Sung, Myungjun Lee, Sungyoon Ryu, Yusin Yang, and Masayoshi Tonouchi
  • DOI:https://doi.org/10.1038/s41377-025-01911-0
【岡山大学】最先端半導体技術開発に新たな分析手法を提供 画像 4

斗内政吉特任教授の見解

研究を主導した斗内政吉特任教授は、半導体産業の再興が日本復活のカギを握ることに触れ、材料開発やデバイス開発だけでなく、新たな分析科学の誕生が必要であると述べています。特に、3次元LSI開発を支えるための新たな分析技術は、今後の半導体産業の発展において重要な役割を果たすと考えられています。

教授は、地味な分野である半導体分析技術にも注目してほしいと呼びかけています。これにより、半導体産業全体の革新が促進されることが期待されます。

【岡山大学】最先端半導体技術開発に新たな分析手法を提供 画像 5

研究資金と関連機関

本研究は、科学研究費補助金の支援を受けて実施されました。具体的には、基盤研究A(23H00184)による支援が行われています。

また、岡山大学異分野基礎科学研究所がこの研究に関連しており、さらなる研究の発展が期待されています。詳しい研究内容については、岡山大学の公式ウェブサイトにて確認できます。

【岡山大学】最先端半導体技術開発に新たな分析手法を提供 画像 6

まとめ

項目 内容
発表日 2025年6月20日
研究機関 岡山大学、ライス大学、サムスン電子、日本サムスン
技術の特徴 非破壊・非接触でのナノメートル精度の深さ推定
論文名 Non-contact and nanometer-scale measurement of PN junction depth buried in Si wafers using terahertz emission spectroscopy
掲載紙 Light: Science & Applications
研究資金 科学研究費補助金(基盤研究A、23H00184)

このように、岡山大学による新たな分析手法は、最先端半導体技術の発展に寄与し、今後の半導体産業における革新を促進することが期待されています。研究の詳細については、岡山大学の公式ウェブサイトで確認することができます。

参考リンク: