50代・60代が挑む介護美容の新キャリアと未来展望
ベストカレンダー編集部
2025年6月24日 12:00
介護美容新キャリア挑戦
開催日:10月1日

ミドルシニア女性の新たな挑戦:介護美容
高齢化社会が進む中、50代・60代のミドルシニア女性たちが新たなキャリアとして介護美容に挑戦しています。株式会社ミライプロジェクトが運営する「介護美容研究所」で学び、高齢者に美容サービスを提供する彼女たちの実例を通じて、介護と美容の融合がもたらす新しい働き方について探ります。

原 美紀子さんの介護美容への転身
原 美紀子さん(50歳)は、飲食店で働いていたものの、将来への不安から新たな働き方を模索していました。体力的な限界を感じる中、趣味で続けていたネイルやスキンケアを活かせる仕事があることを知り、介護美容に興味を持ちました。2024年10月には介護美容研究所に入学し、在学中に介護職に転職しました。
彼女は現在、東京都内の高齢者施設で働きながら、美容イベントを開催しています。初回の美容イベントでは、ひな祭りに合わせてネイルケアを実施し、参加者からは「孫に見せたら自慢できるかな?」といった嬉しい声が寄せられました。特に印象に残ったのは、80代の車椅子の女性とのエピソードです。彼女は施術中、自ら手の角度を調整しながら協力し、その後、原さんに「この方が、爪の色を塗ってくださったのよ」と紹介したことに感動したと語ります。

荻野 久子さんの新たな挑戦
一方、63歳の荻野 久子さんは、40年以上の看護師経験を持つベテランです。60歳を過ぎた頃、「このまま看護師の仕事だけで人生を終わらせたくない」と考え、介護美容の道に進むことを決意しました。2023年10月に介護美容研究所に入学し、現在は看護師業務に加えて美容ケアを提供しています。
荻野さんは月3〜4回、美容ケアを行い、これまでに110名以上のご利用者にサービスを提供しました。ご利用者同士の会話が広がり、特に認知症を持つ方が穏やかになり、笑顔で「ありがとう」と声をかけてくれたことが印象的だったと語ります。施設のホーム長も、心のケアができるようになったと喜びの声を寄せています。

介護美容研究所の役割と新たなキャリア設計
原さんや荻野さんのように、介護と美容を組み合わせた新たな働き方を選ぶミドルシニアが増えています。これは、株式会社ミライプロジェクトが運営する「B&Cキャリアパーク」の存在が大きく影響しています。このプログラムでは、介護・看護の資格を持ちながら、美容ケアを提供できるビューティーケアワーカー(BCW)を全国の施設に紹介しています。
2023年10月の開始以来、B&Cキャリアパークには436法人が参加し、無資格・未経験から介護職に転職した方も41%に達しています。介護業界は人手不足やケアの質向上、入居者満足度の改善といった課題に直面していますが、B&Cキャリアパークは美容というプラスαのケアを提供できる人材を育成し、介護現場の雰囲気を変えようとしています。

介護美容の未来と新たな働き方
今後の介護業界では、単なる介助だけでなく、利用者との関係性や幸福感を創出することが求められています。ミライプロジェクトは、介護美容を通じて、ケアビューティストの育成と就業支援を行い、業界全体のアップデートに貢献することを目指しています。
介護美容研究所は、高齢者向け美容サービスを提供できるプロフェッショナルを育成するための社会人スクールであり、全国に6拠点を展開しています。入学者の約半数は介護・美容業界未経験者であり、2025年10月には新たに埼玉県さいたま市に大宮校がオープン予定です。

介護美容の具体的な活動と成果
介護美容の活動は、ただの美容施術にとどまらず、高齢者の心に寄り添い、彼らの生活の質を向上させる重要な要素となっています。原さんや荻野さんの実績を通じて、介護美容がどのように高齢者に影響を与え、彼らの笑顔を引き出しているかを以下に整理します。
活動内容 | 具体的な成果 |
---|---|
美容イベントの開催 | 参加者の笑顔や自信の向上 |
ネイルケアの提供 | 利用者同士のコミュニケーション促進 |
ハンドトリートメントの実施 | 認知症の方の穏やかな表情の変化 |
心のケアの提供 | 職員や家族の満足度向上 |
介護美容は、高齢者に笑顔と自信をもたらす新しい働き方として注目されています。原さんや荻野さんの取り組みは、今後の介護業界における新たな可能性を示唆しています。介護と美容の融合は、単なるサービス提供にとどまらず、心のケアを通じて高齢者の生活の質を向上させる重要な役割を果たしています。