2025年6月24日公開：EC化粧品購入の最新課題と消費者動向調査

コロナ禍を経て定着したECでの化粧品購買における新たな課題

2025年6月24日、ディーエムソリューションズ株式会社は、全国の20-40代女性500名を対象に「コスメ・化粧品のECでの購買課題に関する実態調査」を実施しました。調査結果は、ECでの化粧品購入に関する新たな課題を浮き彫りにし、特にLTV（顧客生涯価値）向上に向けた示唆を提供しています。

本調査では、ECでの化粧品購買時に感じる不安や、ECサイトのUI/UXに関する意見が収集されました。これにより、消費者の購買行動や要望の変化が明らかになりました。

ECで最も購入されるカテゴリー：スキンケア用品の圧倒的な存在感

調査結果によると、ECサイトで最もよく購入される化粧品カテゴリーはスキンケア用品で、76.2%がこのカテゴリーを選んでいます。この数字は、ベースメイク（50.2%）、クレンジング・洗顔料（43.6%）、ポイントメイク（40.4%）を大きく上回っています。

スキンケア用品は、肌悩みやエイジングケアといった個々の肌状態に密接に関連しており、自宅でじっくり情報を収集してから購入するスタイルがECに適していると考えられます。特にコロナ禍での「おうち時間」の増加により、情報収集からEC購入への流れが加速していることが示唆されています。

EC購買における構造的な課題とその影響

ECでの化粧品購買において、実店舗にはない大きな課題の一つが「実際にテスターを試せないこと」に対する不安です。調査対象者の51.6%がこの不安を感じており、特にスキンケア用品では使用感やテクスチャーの確認が重要視されています。

この「試せない不安」を解消するために、58.1%のユーザーが「多様な使用者による口コミ・レビュー」を重視していることが分かりました。これは詳細な成分情報（38.0%）や商品のテクスチャーが分かる動画や高画質の写真（36.4%）を上回る結果です。EC運営側は、ユーザーが信頼できる口コミを容易に見つけられる仕組みを整えることが重要です。

選択疲れとUI/UXの重要性

また、ECサイトの豊富な品揃えが「選択疲れ」を引き起こすことも調査で明らかになりました。63.0%のユーザーが情報過多によりストレスを感じており、特に「成分や肌悩みによる絞り込み検索機能」や「信頼できる情報源による製品比較やランキング」が重要視されています。

ユーザーは、自分の目的や条件に合わせて情報を絞り込む機能を求めており、特にパーソナライズされたレコメンド機能が購買体験を向上させる鍵となるでしょう。EC運営側は、サイトの構造やナビゲーションを最適化し、ユーザーが必要な情報にスムーズにアクセスできるようにすることが求められます。

配送体験の最適化と顧客心理

ECサイトでの化粧品購入において、配送体験も顧客満足度やリピート意向に大きな影響を与えます。調査の結果、「梱包が過剰で開封やゴミ処理が大変だった」との意見が29.8%を占め、続いて「配達日時の指定ができなかった」（26.8%）や「商品の到着が予定より大幅に遅れた」（17.6%）などの不満が挙げられました。

過剰な梱包は顧客にとって負担であり、環境への配慮も求められています。商品の安全性と、開封のしやすさ、ゴミの量、環境への配慮を考慮した「適正な梱包」が求められる中で、EC運営側は顧客満足度を向上させるための物流プロセス全体の見直しが必要です。

調査概要と今後の展望

本調査は、20-40代の女性500名を対象に、日常的にECでの購買が多い層を対象に実施されました。調査期間は2025年5月5日から5月8日までの間、インターネット調査を通じて行われました。

消費者の購買行動やサイトへの要望は常に変化しており、特にECで化粧品を購入するユーザーが抱える課題は、EC運営者にとって顧客満足度向上、ひいてはLTV向上のための重要な示唆を提供します。

この調査結果を踏まえ、EC市場における消費者のリアルな声を把握し、業界の最新トレンドを反映させることがビジネス成長の鍵となります。ウルロジでは、消費者とEC事業者を対象とした多角的な調査を毎月実施し、その結果をまとめた調査レポートを無料で配信しています。個別の調査依頼にも対応しており、企業のニーズに応じたデータ提供を行っています。