6月23日開催「キャリア戦略」出版記念イベントの全貌
ベストカレンダー編集部
2025年6月23日 18:14
キャリア戦略出版記念
開催日:6月23日

オンライン開催された「キャリア戦略」出版記念イベント
2025年6月23日、株式会社Trustyyleが運営する「人事図書館」にて、オンライン形式で「人事戦略としてのキャリア戦略―『「何者でもない自分」から抜け出すキャリア戦略』出版記念イベント」が開催されました。本イベントは、キャリア支援を個人の問題ではなく、人事戦略の中心として捉える視点を提供することを目的としています。
講演者には、株式会社Your Patronumの代表取締役である森数美保氏が登壇し、本書の核心に触れながら、キャリア戦略の重要性について語りました。

キャリア戦略の核心とその要素
森数氏は、キャリア戦略を「理論 × あなた自身」と定義し、キャリア理論が万能ではないことを強調しました。特に、自分らしいキャリアを構成する3つの要素として以下を挙げました:
- ①事実(経験・スキル)
- ②特性(好き・得意・ストレス)
- ③価値観
これらの要素を踏まえ、「経験=能力ではない」という視点が人事制度設計においても重要であると指摘しました。
また、キャリア支援の第一歩として「なりたい自分」と「ありたい自分」を峻別することが提案されました。周囲の期待や役割から生まれる“なりたい自分”と、内発的に湧き出る“ありたい自分”を区別することで、キャリア支援がより効果的になると述べました。

タラレバ質問の活用
森数氏は、「制約がなかったらどうしたいか?」というタラレバ質問が思考の突破口になると語りました。これにより、参加者は自分の内面を見つめ直し、キャリアに対する新たな視点を得ることができるといいます。
ファミリーキャリアの概念
さらに、キャリアは「個人」ではなく「家族」単位で設計する時代に入ったと森数氏は述べました。具体的には、以下の5つのファミリーキャリアの類型が紹介されました:
- シングル
- リード
- 交換
- 並行
- 補完
これらの類型を理解することで、納得して働くことが持続的なパフォーマンスを生むと強調しました。
感情の重要性
キャリア行動の変容には“正しさ”よりも“感情の動き”が鍵になるとし、納得・共感・ワクワクを引き出すストーリーテリングの重要性が強調されました。感情が動けば人は行動するため、感情を大切にしたキャリア支援が求められています。
参加者の声と人事施策への示唆
イベントの参加者からは多くの感想が寄せられました。以下はその一部です:
- 「なりたい自分とありたい自分は違う、という視点が刺さりました」
- 「キャリア相談はWillを尋ねるだけではないと理解できました」
- 「行動変容を促すには制度のアドオンよりボトルネックを外すことが先だと気づきました」
- 「ファミリーキャリアの概念を採用や評価制度に活かしたいです」
これらの声からも、キャリア支援のあり方に対する新たな理解が得られたことが伺えます。
また、森数氏は、Willが無いことは悪いことではないとし、ありたい姿や仕事の意味づけを再構築することが本質であると述べました。キャリア支援は離職を招かないために、選択肢がないと感じさせる組織の改善が必要であると指摘しています。
ライフとキャリアの密接な関係
育休・介護・パートナーの転勤など、家庭と仕事は密接に関連しているため、家族単位の制度設計が今後の鍵になると強調されました。
登壇者のプロフィールと今後の展望
森数美保氏は、大阪大学卒業後に人材紹介事業を展開する企業に入社し、最年少マネージャーを経験。その後、エンジニア採用を推進し、組織を2倍に拡大させた実績を持っています。2021年には執行役員に就任し、現在は株式会社Your Patronumを創業し、組織開発コンサルティングサービスやキャリア支援サービスを提供しています。
今後、人事図書館ではキャリアと組織開発をテーマにした勉強会を継続開催する予定であり、書籍とイベント、実践コミュニティを通じてキャリア戦略を組織の戦力へと転換する取り組みを進めていく方針です。
まとめ
ポイント | 内容 |
---|---|
キャリア戦略の定義 | 理論 × あなた自身 |
キャリアの3要素 | 事実、特性、価値観 |
ファミリーキャリアの類型 | シングル、リード、交換、並行、補完 |
感情の重要性 | 感情の動きが行動を変える |
人事施策への示唆 | 選択肢を持たせ、離職を防ぐ |
本イベントを通じて、キャリア支援の新たな視点が提供され、参加者は多くの気づきを得ることができたようです。今後の人事戦略におけるキャリア支援の重要性がますます高まることが期待されます。