2025年6月21日開始 岡山大学がメタバースでLGBTユース支援効果を世界初実証
ベストカレンダー編集部
2025年6月21日 21:50
LGBTユース支援実証
開催日:6月21日

岡山大学がメタバースを活用したLGBTユース支援を実証
国立大学法人岡山大学は、2025年6月21日に、地域格差を超えたLGBTユースの支援にメタバースが有効であることを世界初めて実証したと発表しました。この研究は、LGBTの若者たちが直面する心理的な課題を解決するために、メタバースを利用した支援グループを設立し、1年間にわたる活動を通じてその効果を検証したものです。
調査によると、91.6%のLGBTユースが保護者にカミングアウトできていないという現実があり、彼らは学校や家庭での悩みを打ち明けることが難しいとされています。さらに、48%の若者が自殺を考えたことがあるという深刻なデータも示されています。

メタバースを利用した支援グループの設立
このプロジェクトは、岡山大学の学術研究院医歯薬学域の長谷井嬢教授が中心となり、一般社団法人「にじーず」との協力によって実施されました。2024年1月から始まったこの支援グループでは、参加者がアバターを通じて自分の望む性別を自由に表現できる環境を提供しました。
活動の結果、参加者は高い満足度を得ており、心理的な違和感が有意に減少したことが報告されています。特に、現実世界での対人関係に自信がない若者ほど、メタバース空間での自信向上が顕著であったことが明らかになりました。

メタバースの利点
メタバースを活用することにより、以下のような利点が得られました:
- 自己表現の自由度: 参加者はアバターを通じて自分の性別を自由に表現できるため、自己肯定感が向上しました。
- 心理的安全性: メタバース内での活動は、実際の対人関係での不安を軽減し、心理的な安全を提供しました。
- アクセスの向上: 地域格差を超えて、支援グループへの参加が容易になりました。

研究成果と今後の展望
この研究成果は、メタバース分野で世界をリードする査読付き国際学術誌『Journal of Metaverse』に掲載されました。論文のタイトルは「Metaverse Support Groups for LGBTQ+ Youth: An Observational Study on Safety, Self-Expression, and Early Intervention」であり、著者には長谷井嬢教授を含む研究チームが名を連ねています。
長谷井教授は、「LGBTのユースたちが抱える孤独感は、希少がんの患者との共通点があると感じており、メタバースを活用することで孤立感を軽減できるのではないかと考えました。この1年間の活動を通じて、メタバースがLGBTユースにとって重要な心理的安全の場となることが確認されました」と述べています。

研究資金と支援
本研究は、以下の機関からの支援を受けて実施されました:
- 公益財団法人 橋本財団 2023年度 福祉助成(FY2023)
- こども家庭庁 令和5年度NPO等と連携したこどもの居場所づくり支援モデル事業国庫補助
- 公益財団法人三菱財団 社会福祉事業・研究助成(No. 202430037)

研究の意義と社会への影響
この研究は、地域格差を超えたLGBTユース支援にメタバースが有効であることを証明した初めての報告です。支援グループへのアクセスが困難な地域に住む方や、自分の性的指向を周囲に伝えられない方々にとって、メタバースは大きな可能性を持っています。今後、この取り組みが国内外で広がり、LGBTユースの支援の輪が広がることが期待されます。

論文情報
論文名 | Metaverse Support Groups for LGBTQ+ Youth: An Observational Study on Safety, Self-Expression, and Early Intervention |
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掲載紙 | Journal of Metaverse |
著者 | Joe Hasei, Yosuke Matsumoto, Hiroki Kawai, Yuko Okahisa, Manabu Takaki, Toshifumi Ozaki |
DOI | 10.57019/jmv.1639701 |
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この研究の成果は、LGBTユースの心理支援に新たな可能性を示すものであり、メタバースを活用することで、より多くの若者たちが安心して自分を表現できる環境が整うことが期待されています。今後の研究や支援活動がどのように進展していくのか、注目されるところです。
参考リンク: