6月19日開始、シュタイヤマルク州が大阪万博で新アート発表

Paravent History(s)発表

開催日:6月19日

Paravent History(s)発表
シュタイヤマルク州のアートプロジェクトって何?
シュタイヤマルク州が大阪・関西万博で発表した『Paravent History(s)』は、1600年代の屏風絵を現代アートで再解釈し、日本とヨーロッパの芸術の架け橋を目指すプロジェクトです。
PIXEL PARAVENTってどこで見られるの?
PIXEL PARAVENTは2025年6月25日から7月27日まで東京都港区のオーストリア文化フォーラム東京で無料公開され、インタラクティブなデジタルアートとして楽しめます。

オーストリア・シュタイヤマルク州のアートプロジェクト『Paravent History(s)』の発表

2025年6月19日、オーストリア・シュタイヤマルク州は大阪・関西万博のオーストリア館で、アートプロジェクト『Paravent History(s)(屏風のヒストリー)』を発表しました。このプロジェクトは、シュタイヤマルク州で発見された『豊臣期大坂図屏風』へのオマージュとして、現代アートを通じて日本とヨーロッパの芸術の架け橋を築くことを目的としています。

本プロジェクトの起点となる『豊臣期大坂図屏風』は、シュタイヤマルク州の州都グラーツに位置するエッゲンベルク宮殿に所蔵されている、1600年代前半の作品です。約250年以上にわたり宮殿の壁の装飾として見過ごされていましたが、2001年から2004年にかけて関西大学との共同作業により、本来の姿にデジタル復元されました。この復元作業により、豊臣時代の大坂城下を描いた貴重な史料としての価値が確認され、エッゲンベルク宮殿と大阪城は2009年に友好城郭提携を結ぶこととなりました。

オーストリア・シュタイヤマルク州が2025年⼤阪・関⻄万博でアートプロジェクト『Paravent History(s)』を発表 画像 2

現代アートによる新たな解釈

『Paravent History(s)』プロジェクトでは、2組のシュタイヤマルク州出身のアーティストが「屏風との対話」をテーマに作品を制作しました。これにより、伝統的な屏風絵を現代の視点で再解釈し、新たな芸術表現が誕生しました。

  • 『The Styrian Paravent(シュタイヤマルク屏風)』 – アーティスト:トム・ローナー(Tom Lohner)
    幅4メートルの屏風は、シュタイヤマルクの自然や建物を色鮮やかに描写しています。シュタイヤマルク産のウォールナット材を使用し、豊臣期大坂図屏風へのオマージュであり、シュタイヤマルクと関西の架け橋をビジュアル化した作品です。
  • 『PIXEL PARAVENT – Time Travels in Clouds(ピクセル屏風絵 〜雲の合間をタイムトラベル〜)』 – アーティスト:studio ASYNCHROME
    この作品は、『豊臣期大坂図屏風』に描かれた主なモチーフをインタラクティブなピクセルアートで表現したマルチスクリーン・デジタルインスタレーションです。屏風絵に隠された“コード”を現代の造形言語に置き換えたもので、ポエティックなビデオゲームのような体験を提供します。なお、こちらの作品は2025年6月25日から7月27日まで東京都港区のオーストリア文化フォーラム東京にて一般公開されます(入場無料)。
オーストリア・シュタイヤマルク州が2025年⼤阪・関⻄万博でアートプロジェクト『Paravent History(s)』を発表 画像 3

シュタイヤマルク州の文化と経済の魅力

シュタイヤマルク州はこのプロジェクトを通じて、文化的な側面だけでなく、経済的な強みもアピールしています。シュタイヤマルク州は国際的なネットワークを持つ革新力の高い地域で、芸術や文化に限らず、研究や技術、産業においてもパートナーシップ提携先としての人気があります。

シュタイヤマルク州は、グリーンテック、モビリティ、マテリアル、デジタル化に重点を置き、ヨーロッパで最もイノベーション創出力の高い地域の一つとされています。研究開発費の対域内総生産(GDP)比は約5%に達し、約8000社の企業が輸出を行っていることからも、高いビジネスポテンシャルを有しています。

オーストリア・シュタイヤマルク州が2025年⼤阪・関⻄万博でアートプロジェクト『Paravent History(s)』を発表 画像 4

シュタイヤマルク州代表団の訪問

今回のプレゼンテーションには、シュタイヤマルク州のヴィリバルト・エーレンヘーファー経済担当州参事とクリストファー・ドレクスラー州議会第二議長をはじめとするハイレベルの代表団が出席しました。この代表団は、芸術、経済、学術、観光、クリエイティブ産業の分野を代表するメンバーで構成されており、大阪、東京、神戸、京都などを訪れ、経済・文化面での結び付きを強化するための会合や文化施設の訪問、講演会などを行いました。

シュタイヤマルク州は、このプロジェクトを通じて、歴史、文化、地理を超えた対話を生み出すことを目指しています。また、万博という国際舞台において、大阪城とエッゲンベルク城、関西とシュタイヤマルク州、日本とオーストリア、さらには過去と現在をつなぐ文化的な架け橋となることが期待されています。

プロジェクト名 アーティスト 特徴 展示場所 期間
シュタイヤマルク屏風 トム・ローナー シュタイヤマルクの自然や建物を描いた4メートルの屏風 オーストリア館 2025年6月19日
PIXEL PARAVENT studio ASYNCHROME インタラクティブなピクセルアートのデジタルインスタレーション オーストリア文化フォーラム東京 2025年6月25日~7月27日

シュタイヤマルク州のアートプロジェクト『Paravent History(s)』は、歴史的な作品への敬意を表すと同時に、現代アートを通じて新たな文化交流の可能性を探る重要な試みです。このような取り組みを通じて、国際的な芸術の架け橋が構築されていくことが期待されます。