2024年7月23日開始:NTTコムとNTTデータが共同で実施したキャリア形成とリスキリング実態調査の詳細

キャリア形成調査2024

開催期間:7月23日〜7月26日

キャリア形成調査2024
キャリア施策って実際どれくらいの人が使ってるの?
調査によると、企業のキャリア施策を認知している人は53.4%ですが、実際に利用しているのは11.9%にとどまっており、活用はまだ限定的です。
リスキリングってどんなスキルが人気で、デジタルスキルはどうなの?
リスキリングは主に非デジタル領域の自己開発やリーダーシップなどに偏っており、デジタル・ITスキルの取り組みは正社員で18.6%、契約社員で9.1%と低い状況です。

キャリア形成とリスキリングの実態調査の概要

NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社と株式会社NTTデータ経営研究所は、共同で「令和のキャリアプラン実態調査-キャリア形成とリスキリングの現在地-」を実施しました。この調査の目的は、令和時代に働く人々のキャリアプランや企業のキャリア形成支援施策、個人によるリスキリング状況を明らかにし、今後のキャリア施策の在り方を議論するための土台を提供することです。

調査は2024年7月23日から26日にかけて、就業中の20代から60代以上の男女を対象に、非公開型のインターネットアンケートを通じて行われました。調査対象者は1,055人で、男女比はほぼ均等です。

【キャリア形成とリスキリングの実態調査】 係長クラス以上の約7割、年収500万円以上の約5割がキャリア転換を検討 職責・年収が意向に影響 画像 2

調査結果の主なポイント

調査の結果、以下のような重要なポイントが明らかになりました。

  • キャリア施策の認知度は過半数を超えるものの、実際の活用は1割強にとどまる。
  • キャリア転換の意向は、係長クラス以上で7割超、年収500万円以上で5割に達する。
  • リスキリング実施率には属性差があり、正社員34.9%、契約社員22.7%で、非デジタル領域に偏重している。
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キャリア施策の認知と活用状況

調査によると、正社員840人のうち53.4%が企業のキャリア施策を認知していると回答しました。しかし、実際にその施策を利用しているのは11.9%にとどまり、活用の広がりには課題があることが示されました。

さらに、キャリア施策の必要性を感じないと答えた人は25.2%に達し、キャリア支援に対する低関心層が存在することも分かりました。具体的な施策としては、キャリアパスの明示やキャリアカウンセリングの提供、社内での異動機会の提供などが挙げられます。

【キャリア形成とリスキリングの実態調査】 係長クラス以上の約7割、年収500万円以上の約5割がキャリア転換を検討 職責・年収が意向に影響 画像 4

キャリア転換の意向

キャリア転換の意向については、役職別および年収別に分析が行われました。結果、係長クラス以上の役職にある人々の70%以上がキャリア転換を考えている一方で、役職なしの人々では24.4%にとどまっています。また、年収500万円以上の層では約50%が転換を考えているのに対し、500万円未満の層では17.8%から38.6%にとどまり、職責や収入が意向に大きく影響していることが確認されました。

リスキリングの実施状況

リスキリングの実施状況については、正社員の34.9%、契約社員の22.7%がリスキリングに取り組んでいると回答しました。特に正社員の中でも役職なしの層や年収200万円未満の層では実施率が低い傾向が見られました。

リスキリングの内容は、非デジタル領域に偏っており、自己開発や作業・技巧、メンタル・適応、リーダーシップなどが主なテーマとなっています。特に、デジタル・ITスキルに関しては、正社員の18.6%、契約社員の9.1%にとどまり、今後のスキル需要とのギャップが生じていることが浮き彫りになりました。

リスキリングのスキル領域

本調査ではリスキリングのスキル領域を12項目に分類しています。具体的には以下の通りです。

  1. 基礎・汎用スキル
  2. メンタル・適応スキル
  3. 自己開発スキル
  4. 作業・技巧スキル
  5. リーダーシップ・管理スキル
  6. 思考スキル
  7. デザインスキル
  8. サービススキル
  9. マーケティングスキル
  10. Digital・ITスキル
  11. グローバル系スキル
  12. サステナビリティ系スキル

特にデジタル・ITスキルに関しては、今後のビジネス環境において重要な要素となるため、企業としても積極的な取り組みが求められます。

今後の展望と課題

調査を通じて明らかになったのは、企業におけるキャリア形成支援施策やリスキリング施策の整備が進んでいる一方で、個人の施策への活用状況は厳しいということです。特に、リスキリングにおいては非デジタル領域に偏った取り組みが多く、社会や企業の需要との乖離が生じている可能性があります。

また、Generative AIの活用に伴う仕事の変化や企業のビジネスモデルの変革が進む中で、個人に対しては明確なキャリアの選択肢を示し、需要に合ったリスキリングを促進することが重要です。

調査結果のまとめ

調査項目 結果
キャリア施策の認知度 53.4%が認知
キャリア施策の利用率 11.9%が利用
キャリア転換意向(係長以上) 70%超
キャリア転換意向(年収500万円以上) 約50%
リスキリング実施率(正社員) 34.9%
リスキリング実施率(契約社員) 22.7%
デジタル・ITスキル実施率(正社員) 18.6%
デジタル・ITスキル実施率(契約社員) 9.1%

この調査結果を通じて、企業はキャリア形成支援施策を見直し、個人に対してもより具体的なキャリアの選択肢を提示する必要があります。リスキリングの取り組みを強化し、将来のスキル需要に応じた教育・研修を推進することで、企業と個人の双方にとって有益な結果を生むことが期待されます。

参考リンク: