2025年1月20日開始のABCI 3.0が世界4位のAI計算能力を実現し国内AI競争力を強化
ベストカレンダー編集部
2025年6月11日 11:45
ABCI 3.0一般提供開始
開催日:1月20日

大規模AIクラウド計算システム「ABCI 3.0」の概要
2025年1月20日より一般提供を開始した大規模AIクラウド計算システム「ABCI 3.0」は、AI計算能力を示す世界のスパコン性能ランキングHPL-MxPにおいて、世界第4位、国内第1位を獲得したことが発表されました。この結果は、2025年6月10日に独・ハンブルクで開催された国際会議「ISC HIGH PERFORMANCE (ISC 2025)」で発表され、ABCI 3.0の優れた性能が証明されました。
ABCI 3.0は、産業技術総合研究所(産総研)および株式会社AIST Solutionsが運営しており、従来比7倍の計算性能を持つことから、大規模言語モデルの開発や実世界データを用いた基盤モデルの開発、さらにはそれらを組み合わせたマルチモーダルAIの開発が可能になりました。このように、ABCI 3.0は国内のAI産業の競争力を強化するための基盤として位置づけられています。

ABCI 3.0の計算性能と利用状況
ABCI 3.0は、最新の高性能・省電力GPU「NVIDIA H200 SXM5」を8基搭載したサーバー「計算ノード(H)」を766台導入しており、これにより従来の計算性能を大幅に向上させています。具体的には、演算性能2.3628エクサフロップスを記録し、HPL-MxPベンチマークにおいて世界4位、国内1位を達成しました。
このシステムは、2025年4月以降に公的利用を目的とした「開発加速利用」において、すでに60課題以上の基盤モデル、生成AI、マルチモーダルAI等の最先端AI技術の研究開発に利用されています。このように、ABCI 3.0は多くの研究者や開発者にとって貴重な資源となっています。
ABCI 3.0のシステム構成
項目 | 詳細 |
---|---|
サーバー数 | 766台 |
搭載GPU | NVIDIA H200 SXM5(8基搭載) |
演算性能 | 2.3628エクサフロップス |
上記のように、ABCI 3.0は最新の技術を駆使して構築されており、その性能は国内外の研究者から高く評価されています。
ABCI 3.0の今後の展望と研究開発への貢献
今後、ABCI 3.0は単なる計算能力の提供にとどまらず、高度で使いやすいAI開発環境を構築し、基盤モデル構築時に利用可能なデータ群の整備を進めることで、日本国内の生成AI開発能力の向上に寄与します。また、計算インフラの構築ノウハウを国内クラウド事業者と共有し、生成AIサービスの提供を通じて幅広い産業の競争力を強化することが期待されています。
特に、基盤モデル、生成AI、マルチモーダルAI等の最先端AI技術の研究開発や評価、人材育成を目的とした公的利用に重点を置いて提供される予定です。これにより、産総研における実世界のデータを活用した基盤モデルの開発や、先進的なAI研究開発が進むことが見込まれています。
用語の説明
- GPU(Graphics Processing Unit)
- コンピューターグラフィックス専用のプロセッサーで、現在では高性能計算向けの汎用ベクトル・行列演算プロセッサーとしても利用されています。
- HPL-MxP
- AIや機械学習のワークロードにおける計算性能を評価するためのベンチマークで、低精度演算の処理能力を反映したものです。
- TOP500
- 世界のスーパーコンピューターを対象にした国際的なプロジェクトで、計算性能の上位500システムをランク付けしています。
- エクサフロップス(Exa FLOPS)
- 1秒間に行える浮動小数点演算の回数を示す単位で、エクサは10の18乗を意味します。
以上のように、ABCI 3.0は国内のAI産業において重要な役割を果たすことが期待されており、今後の発展が注目されます。
まとめ
この記事では、ABCI 3.0の概要、計算性能、今後の展望、及び関連する用語について詳しく説明しました。これを以下の表にまとめます。
項目 | 詳細 |
---|---|
一般提供開始日 | 2025年1月20日 |
HPL-MxPランキング | 世界4位、国内1位 |
サーバー数 | 766台 |
搭載GPU | NVIDIA H200 SXM5(8基搭載) |
演算性能 | 2.3628エクサフロップス |
ABCI 3.0は、国内外のAI技術開発において重要な役割を果たすことが期待されており、その成果が今後の研究開発に大きく寄与することが見込まれます。