2025年6月9日発表 資生堂が肌の保湿を高める新技術「Reservoir in Skin」を開発
ベストカレンダー編集部
2025年6月9日 18:41
保湿技術発表
開催日:6月9日

資生堂が開発した新技術「Reservoir in Skin」について
株式会社資生堂は、2025年6月9日に、肌の保湿に重要な役割を果たす成分である「天然保湿因子」を角層へ効率的に届け、留める革新的な技術「Reservoir in Skin」を発表しました。この技術は、肌の保湿機能を高める新たなアプローチとして注目されています。
天然保湿因子は、肌の角層に存在し、肌のうるおいを維持するために必要不可欠な成分です。しかし、日常の洗浄や加齢によって簡単に流出してしまうため、適切に保湿を行うことが困難です。資生堂は、この課題を解決するために、PCA(ピロリドンカルボン酸)を角層に届けて留めることに成功し、保湿効果の向上や肌の滑らかさの改善を確認しました。

「Reservoir in Skin」技術の詳細
この技術は、資生堂の強みであるDDS(ドラッグデリバリーシステム)技術を活用しています。具体的には、以下のような特徴があります。
- 有用成分の効率的な届け方: 成分が持つ効果を最大限に発揮させるため、複雑で多岐にわたる成分の混合・製剤化に挑戦しています。
- 角層への適切な届け方: 保湿成分を肌へ適切に届けることにより、スキンケアに新たな価値をもたらします。
- 複合体の形成: 特定の両親媒性物質とPCAを組み合わせることにより、PCAが角層に多く留まることを発見しました。
この技術によって、PCAを角層細胞へ効率的に届け、さらなる保湿効果を発揮することが確認されています。研究成果の一部は、「International Journal of Pharmaceutics」に掲載されています。

研究の背景と目的
資生堂は、有用成分の開発に加えて、成分が持つ効果を最大限発揮させるための研究を行っています。これまでの研究では、固体の物質を液体へと形状変化させる技術や、高分子の体積をコントロールする技術などが開発されてきました。
ターゲットとした天然保湿因子は、肌表面の角層に本来存在し、肌のうるおいを維持するために必要不可欠な成分ですが、加齢変化や日常生活によって簡単に流出してしまいます。このため、外から化粧品で補充しても効果を発揮する角層に留まりにくいという課題がありました。
技術の開発過程
資生堂は、角層に適切に送り届け、留める技術の開発を進めました。具体的には、以下のような研究が行われました。
- 天然保湿因子を様々な成分と組み合わせ、検証を行う。
- 特定の両親媒性物質とPCAを組み合わせることで、PCAが角層に多く留まることを発見する。
- PCA単独の場合と比較し、角層を含む表皮層のPCAの浸透量を増加させる。
この結果、複合体を形成することで、PCAを適切な場所へ送り届け、留める「Reservoir in Skin」技術が開発されました。
今後の展望とR&D戦略
資生堂は、イノベーションを加速させるためのアプローチとして、R&D理念「DYNAMIC HARMONY」のもと、以下の3つの柱を立てています。
- Skin Beauty Innovation: ブランドの価値向上を目指す。
- Sustainability Innovation: 循環型の価値づくりを推進。
- Future Beauty Innovation: 新領域への挑戦を行う。
また、オープンイノベーションを推進し、さまざまな外部機関との研究アライアンスを通じて、新しい価値創造を進めています。資生堂の先進サイエンスと世界トップレベルの研究機関の知と技術の融合から創出された革新的な研究成果は、化粧品技術に関する世界最大の権威ある研究発表会IFSCCなどで高く評価されています。
まとめ
技術名 | 特徴 | 目的 |
---|---|---|
Reservoir in Skin | 天然保湿因子を角層に効率的に届け、留める技術 | 肌の保湿機能を高める |
PCA | 天然保湿因子の一種で、肌を潤す効果がある | 角層に留まりやすくする |
R&D理念 | DYNAMIC HARMONY | イノベーションの加速 |
資生堂が開発した「Reservoir in Skin」技術は、肌の保湿機能を高める新しいアプローチとして、今後の製品開発において重要な役割を果たすことが期待されています。これにより、より健康的で美しい肌を実現するための新たなソリューションが提供されることが望まれます。