2025年7月開催、東京外国語大学でアラブ地域の歴史と紛争を描く映画特集上映

TUFS Cinemaアラブ映画特集の概要

2025年6月9日、国立大学法人東京外国語大学（東京都府中市、学長：春名展生）は、アラブ地域における運動と紛争の記憶をテーマにした2本のドキュメンタリー映画を上映する特集を開催します。この特集では、アラブ・フェミニズムの歴史を描いた『フェミニスト・インシャッラー：アラブ・フェミニズムの歴史を語る』と、レバノン内戦からの記憶を探る『土地と海』が上映されます。

このイベントは、映画の上映後に専門家による解説やトークセッションが行われ、映像だけでは捉えきれない各地域の社会背景についての理解を深めることを目的としています。これにより、参加者はアラブ映画の魅力をより深く体感できる機会となるでしょう。

第1回上映作品『フェミニスト・インシャッラー』

第1回目の上映作品は、2025年7月14日（月）18:00から東京外国語大学 アゴラ・グローバル プロメテウス・ホールで行われる『フェミニスト・インシャッラー：アラブ・フェミニズムの歴史を語る』です。この映画は、20世紀初頭から現代にかけてのアラブ地域におけるフェミニズム運動を描いており、エジプト、モロッコ、アルジェリア、チュニジアを舞台に、過去100年の展開を追います。

本作では、「女性の解放」がナショナリズムや植民地主義からどのような影響を受けてきたのか、また、各地で何が求められ、どのような声があげられてきたのかを探ります。未公開のアーカイブや活動家たちの独占インタビューを交え、歴史的な視点からアラブ・フェミニズムに迫る内容となっています。

作品情報

• 監督：フェリエル・ベン・マフムード
• 制作年：2014年
• 国：フランス
• 上映時間：52分
• 言語：アラビア語・フランス語（日本語字幕）
• 原題：Feminists Insha’Allah! The Story of Arab Feminism

上映後のトークセッション

上映後には、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所の准教授である後藤絵美氏が解説を行い、パネルディスカッションも予定されています。パネラーにはエジプト・カイロ大学のカラム・アッバース氏、亜細亜大学の岡崎弘樹氏、東京外国語大学の鷹木恵子氏が参加します。なお、同時通訳も行われる予定です。

第2回上映作品『土地と海』

第2回目の上映作品は、2025年7月19日（土）14:00から同じく東京外国語大学 アゴラ・グローバル プロメテウス・ホールで行われる『土地と海』です。この映画は、レバノン内戦から50年を迎える今もなお、内戦の記憶を探る内容で、家族が愛する人の遺骨の帰還を待ち続ける姿を描いています。

監督のダニエル・ルーゴ氏は、証言者の顔を映さず、その声を紛争中の映像や現在の風景と重ねることで、内戦の暴力とその残された影響を静かに、しかし力強く描いています。作品は、レバノンの海を集団墓地として語るナレーションを通じて、暴力と死の記憶を呼び覚まします。

作品情報

• 監督：ダニエル・ルーゴ
• 共同製作者：カルメン・アブー・ジャウデ、ダニエル・ルーゴ
• ナレーション：イリヤース・フーリー
• 制作年：2023年
• 国：レバノン・イギリス
• 上映時間：73分
• 言語：アラビア語（日本語字幕）
• 原題：The Soil and The Sea（アラビア語 Bahr wa Turab）

上映後のトークセッション

『土地と海』の上映後には、神戸大学の岡部友樹氏、日本学術振興会PDの児玉恵美氏が登壇し、東京外国語大学の黒木英充教授が司会を務めます。これにより、作品に関する深い理解が促進されるでしょう。

イベントの詳細と参加方法

このアラブ映画特集は、入場無料で先着501名まで参加可能ですが、事前登録が必要です。登録は以下のリンクから行うことができます。

• 事前登録はこちら

会場は東京外国語大学 アゴラ・グローバル プロメテウス・ホールで、住所は東京都府中市朝日町3-11-1です。映画を通じて、アラブ地域の歴史や文化、社会的背景についての理解を深める貴重な機会となるでしょう。

まとめ

今回のTUFS Cinemaアラブ映画特集では、アラブ・フェミニズムの歴史を描いた『フェミニスト・インシャッラー』と、レバノン内戦の記憶を探る『土地と海』の2本が上映されます。どちらの作品も、アラブ地域の社会的背景や歴史を深く掘り下げる内容であり、上映後のトークセッションを通じて、さらに理解を深めることができるでしょう。

この特集を通じて、アラブ地域の映画や文化に触れ、より深い理解を得ることが期待されます。