2025年初頭から弁当店の倒産増加が加速、コメ高騰と価格競争が経営圧迫
ベストカレンダー編集部
2025年6月8日 09:43
弁当店倒産増加
開催期間:1月1日〜5月31日

弁当店の倒産動向とその背景
2025年の初めから5月にかけて、弁当店の倒産件数が増加しています。株式会社帝国データバンクによる調査によれば、仕出しやテイクアウトを中心とした弁当店の倒産件数は22件に達し、前年同期の21件を上回るペースで推移しています。この傾向が続くと、2025年は過去最多の倒産件数を記録する可能性が高いとされています。
弁当需要の縮小と、特にコメ価格の高騰が経営を圧迫していることが主な要因です。2024年度には弁当店の業績悪化割合が51.9%に達しており、半数以上の店舗が経営に苦しんでいる状況です。安価な備蓄米が放出されているものの、品質維持のために新米を使用したいというニーズもあり、採算性の確保が重要な課題となっています。

倒産件数の詳細とその影響
2025年1-5月の弁当店の倒産件数は、駅弁や仕出し弁当を中心に増加しています。特に、法人向けのランチ弁当の需要が減少していることが影響しています。会議や法要、冠婚葬祭といった大口の受注も縮小傾向にあり、事業所向けの需要が減少しているため、弁当店の商圏は狭まっています。
さらに、2021年以降は原油価格の高騰や円安、ウクライナ情勢の影響を受けて、鶏肉、食用油、小麦粉などの食材価格が上昇しています。これに加え、長時間労働や早朝対応が求められるため、調理師の採用が難しくなっており、人手不足が深刻化しています。これらの要因が重なり、弁当店の経営は厳しい状況にあります。

コスト高と価格転嫁の難しさ
弁当店では、コスト高を受けて価格転嫁を進めているものの、大手と地元密着型の弁当店との間で収益力の格差が広がっています。2024年度の弁当事業を手がける企業の損益状況を見ると、45.0%が前年度から増益となった一方で、21.7%が減益、30.2%が赤字という結果が出ています。赤字・減益を合わせた業績悪化の割合は51.9%に達しており、特に中小の弁当店ではコメ価格の高騰が直接的な影響を及ぼしています。
また、500円以下での値付けを行うスーパーやコンビニなどの「ワンコイン弁当」との競争が厳しく、値上げが進まないために収益力が低下している店舗も見られます。このような状況下で、弁当店はどのようにして採算性を確保するのかが問われています。
新たな取り組みと今後の展望
最近では、安価な備蓄米が放出される一方で、品質維持のためには新米を使用したいという声も多く聞かれます。弁当店では、同じ分量でご飯を盛り付けるほか、廃棄ロスを減らすことでコスト削減を図る動きや、食品スーパーに出品するなど新たな販売機会を模索する取り組みも進められています。
しかし、多くの弁当店では食材や包装資材の価格上昇分を売価に十分に転嫁できていないため、採算面での課題が残っています。物価高で価格に敏感な消費者が増えている中で、弁当店はどのようにして持続可能な経営を実現するのかが今後の重要なテーマとなるでしょう。
項目 | 内容 |
---|---|
倒産件数(2025年1-5月) | 22件 |
前年同期の倒産件数 | 21件 |
業績悪化割合(2024年度) | 51.9% |
増益企業の割合 | 45.0% |
減益企業の割合 | 21.7% |
赤字企業の割合 | 30.2% |
以上のように、弁当店の倒産動向は深刻な状況にあり、様々な要因が影響しています。特にコメ価格の高騰は経営を圧迫しており、採算性の確保が求められる中で、弁当店各社の経営戦略が試されています。