2025年1~5月の書店倒産が過去最少に 新たなビジネスモデルで業績回復の兆し
ベストカレンダー編集部
2025年6月4日 09:44
書店倒産急減と新ビジネス
開催期間:1月1日〜5月31日

書店業界の倒産動向
2025年6月3日、株式会社帝国データバンクが発表した調査によると、書店業界における倒産の発生状況において、2025年1月から5月の期間における書店の倒産件数はわずか1件にとどまりました。この数字は前年同期の11件を大きく下回り、過去最少のペースとなっています。これは書店業界が持ち直しの動きを見せていることを示唆しています。
倒産の集計は、負債が1000万円以上で法的整理によるものを対象としており、集計期間は2000年1月1日から2025年5月31日までとなっています。業績悪化に悩む企業は58.3%に達していますが、書店業界全体が新たなビジネスモデルの確立を進めていることが、業界の回復に寄与しているようです。

書店業界の新たなビジネスモデル
書店業界は「活字離れ」による紙書籍の需要減や、インターネット書店、電子書籍の普及など、厳しい経営環境に直面しています。このような中で、書店は新たなビジネスモデルの確立を目指しています。
具体的には、以下のような取り組みが進められています:
- 滞在型書店の導入:ただの販売店としてではなく、顧客が長時間過ごせる「目的地化」を目指す書店が増えています。カフェを併設したり、雑貨の取り扱いを強化したりすることで、来店を促す工夫がなされています。
- 文具や雑貨の強化:書店内での文具や雑貨の取り扱いが強化され、雑貨コーナーを拡充するケースが増えています。これにより、書籍販売だけでなく、他の商品の販売も行うことで収益を上げる戦略が見られます。
- 学習塾との共同サービス:専門知識を生かして、学習塾と共同で学生向けの販売サービスを展開するなど、書籍販売のスタイルを深耕させる取り組みが行われています。
これらの新たなビジネスモデルにより、書店の業績が回復し、2024年度には増益となった書店の割合が39.9%に達しました。この数値は過去10年で2番目に高い水準であり、業界全体の回復を示しています。
業界全体の支援体制
また、経済産業省は2024年3月に「書店振興プロジェクトチーム」を立ち上げ、政府の骨太方針にも出版業や書籍小売業の支援が明記されています。これにより、書店存続への注目度が高まっており、業界全体での支援体制が整いつつあります。
このような支援体制の中で、各書店は縮小する書籍販売のニーズをどのように吸い上げ、再び書店に来訪する客数を増やすかが問われています。新たなビジネスモデルの確立とともに、政府の支援が書店業界の復活にどのように寄与するかが注目されます。
まとめ
書店業界は、2025年1月から5月の期間において、倒産件数が過去最少の1件にとどまるなど、持ち直しの兆しを見せています。業界全体が新たなビジネスモデルの確立を進めていることが、業績回復につながっていることが明らかです。
以下に、書店業界の現状と新たな取り組みをまとめます:
項目 | 内容 |
---|---|
倒産件数 | 2025年1-5月:1件(前年同期:11件) |
業績悪化企業の割合 | 58.3%(34.4%が赤字) |
増益となった書店の割合 | 39.9%(過去10年で2番目に高い水準) |
新たなビジネスモデルの例 | 滞在型書店、文具や雑貨の強化、学習塾との共同サービス |
政府の支援 | 書店振興プロジェクトチームの設立 |
これらの情報から、書店業界が新たな道を模索し続けていることがわかります。今後の動向に注目が集まります。