2025年6月1日発表:岡山大学がラットの指の長さと性的活発性の関連を解明

ラット指長と性的活発性

開催日:6月1日

ラット指長と性的活発性
ラットの指の長さってどうして性的活発性の指標になるの?
ラットの第2指が短いほど性的に活発で、これは胎児期の男性ホルモン曝露を反映する指標であり、性的行動やメスの匂いへの選好性と関連しています。
この研究成果は今後どんな分野に役立つの?
指の長さが性的活発性を示す指標になることから、性的指向性の神経生物学的メカニズムの解明や行動予測の科学的研究に貢献することが期待されています。

岡山大学の新たな研究成果

国立大学法人岡山大学は、2025年6月1日付で、ラットにおける指の長さが性的活発性の指標となることを発見したと発表しました。この研究は、岡山大学大学院自然科学研究科の博士後期課程に在籍していた林姫花大学院生と坂本浩隆教授の研究グループによって行われました。

研究の結果、オスのラットにおいて、第2指(人差し指)が短いほど性的に活発であることが明らかになりました。特に、第2指が短いオスはメスの匂いに対する明確な選好性を示し、これが子宮内ホルモン環境を反映する形態学的特徴であることが示唆されています。

【岡山大学】性的傾向が指に現れる?〜ラットの指の長さが行動のカギに~ 画像 2

研究の背景と目的

本研究は、ラットの指の長さと性的活性との関連性を探ることを目的としていました。指の長さの比(2D:4D比)は、胎児期の男性ホルモンへの曝露を反映する指標として知られています。これまでの研究では、ヒトにおいて男性が有意に低い2D:4D比を示すことが確認されていますが、ラットにおいても同様の傾向が見られることが分かりました。

具体的には、オスのラットはメスよりも第2指が短く、性的活性と2D:4D比の関係を調査したところ、射精に至ったオスは射精に至らなかったオスに比べて第2指が有意に短いことが判明しました。このことから、指の長さが性的活発性の指標となる可能性が示されました。

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研究方法と結果

研究では、ラットの前肢における第2指と第4指の長さを比較し、性的活性との関連を調査しました。以下に、研究の具体的な手法と結果を示します。

  • ラットの指の長さを測定するために、カスタム測定プレートを使用しました。指を平らに押し付け、ノギスで長さを測定しました。
  • 指の長さにおける性差を調査した結果、オスはメスと比較して第2指が短いことが確認されました。
  • 性的行動テストを行ったところ、第2指が短いオスは第2指が長いオスよりも性的に活発であることが明らかになりました。
  • さらに、第2指が短いオスのみがメスの匂いに対して明確な選好性を示しました。
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今後の研究への期待

この研究は、ラットの第2指の長さが性的活性や選好性を反映する有用な形態学的指標であることを示しています。今後は、この知見が性的指向性の神経生物学的メカニズムの解明にも貢献することが期待されています。

坂本浩隆教授は、「指先を見れば行動傾向がわかる時代が来たかもしれない」と述べ、指の長さという客観的な指標から性的活発性の傾向が予測できる可能性が示されたことを強調しました。また、林姫花特任助教も、指が生まれる前のホルモン作用と成熟後の性的活発性の両方を反映していることに驚きを示しました。

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研究の成果とその意義

本研究の成果は、2025年5月14日付で国際学術誌「Experimental Animals」に掲載されました。この研究は、岡山大学の次世代研究者挑戦的研究プログラム(OU-SPRING)の一環として行われ、優秀な人材の育成と研究の推進を目的としています。

以下に、研究の主な成果をまとめます。

研究成果 内容
指の長さと性的活発性の関連 第2指が短いオスのラットは性的に活発であることが確認された。
性行動テストの結果 射精に至ったオスは第2指が有意に短かった。
匂いへの選好性 第2指が短いオスのみがメスの匂いに対して明確な選好性を示した。

今回の研究から、ラットにおける指の長さが性的活発性の指標となることが明らかになりました。今後の研究において、この知見がどのように発展するのか注目されます。

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