2025年5月27日開始、大阪・関西万博で新開発のステンレス真空断熱パネル保冷輸送技術を運用
ベストカレンダー編集部
2025年5月29日 13:14
保冷輸送技術導入
開催日:5月27日

大阪・関西万博における新たな保冷輸送技術の導入
2025年5月27日より、大阪・関西万博会場内で新たに導入される保冷輸送技術が注目を集めています。タイガー魔法瓶株式会社は、日本通運株式会社および岐阜プラスチック工業株式会社と共同で開発した「ステンレス密封真空断熱パネル(TIVIP)」を採用した保冷輸送器材をお披露目しました。この新技術は、物流業界が抱える温度管理やエネルギー効率の課題に対し、次世代の断熱技術によるソリューションを提供します。
特に注目すべきは、真空断熱ロールボックスと真空断熱プロテクトボックス(プロテクトBOXサーマル)の2つの製品です。これらは2025年5月27日から運用が開始され、万博での実証では温度データの取得・分析も行われます。また、プロテクトBOXサーマルは2026年度の商品化を目指しています。

物流業界の現状と課題
物流業界は、コロナ禍以降のEC市場の拡大に伴い、宅配需要が急増しています。このため、小口配送やラストワンマイルの効率化が重要な課題となっています。さらに、ドライバーや倉庫作業員の人手不足が深刻化しており、自動倉庫やロボット、AIを活用した自動化の導入が進んでいます。
日本通運株式会社の藏田隆典氏は、業務効率化やコスト削減を目的とした物流DXの推進、EVトラックの導入など、サステナビリティ対応が加速していると述べました。また、2024年4月からの労働規制強化による「物流2024年問題」や、地政学リスクを背景としたグローバルサプライチェーンの再構築も大きな課題として挙げられています。

温度管理の重要性
温度管理は、食品や医薬品、電子部品、美術品などの輸送において非常に重要です。万博では、温度管理が求められる貨物輸送において、保冷輸送器材の活用が開始されます。輸送中には温度データの取得・管理を行い、今後の商品化に向けた検証や分析も実施されます。

新開発のステンレス密封真空断熱パネル(TIVIP)の特長
タイガー魔法瓶が新たに開発した「ステンレス密封真空断熱パネル(TIVIP)」は、従来の素材と異なり、ステンレスを採用することで高断熱・長寿命・不燃を実現しています。このパネルは、内部を真空状態にすることで熱伝導を非常に低く抑え、高い断熱効果を発揮します。
具体的には、以下の特長があります:
- 高い断熱性能を持ちながら非常に薄い厚みで実現
- 長期間にわたる高断熱性の維持
- 不燃性を持つことで安全性が向上
- 省エネやスペース効率を重視する分野での使用が期待される
この新素材は、食品・医薬品・電子部品・美術品など多様な分野での展開が期待されています。

テクセルとの協業
岐阜プラスチック工業が開発した樹脂製ハニカムパネル「テクセル」は、軽さと強度に優れた中空構造体であり、物流資材や建材など幅広い分野で活用されています。このテクセルとTIVIPを組み合わせることで、高性能な保冷輸送が可能となります。
具体的には、TIVIPをテクセルでサンドイッチすることで、軽量かつ強固な断熱ユニットパネルを採用しています。このユニットパネルを日本通運の輸送梱包ツールである「プロテクトBOX」などに採用することで、温度維持のために蓄冷材や蓄熱材の使用が不要となり、電力使用量の大幅な削減を実現します。

万博での実証実験と今後の展開
大阪・関西万博での実証実験では、2025年5月27日より、食品・飲料・土産物など温度管理が求められる貨物輸送において、保冷輸送器材の活用が開始されます。今後は、夏季の温度上昇抑制や冬季の凍結防止といった課題に対応しつつ、食品、医薬、電子部品、美術品など多様な分野への展開が検討されています。
また、2025年10月7日から10月13日までの期間、万博会場内で「未来社会ショーケース事業・フューチャーライフ万博」にて、ステンレス密封真空断熱パネル技術が展示される予定です。この展示は、大阪府の「カーボンニュートラル技術開発・実証事業」の支援を受けて行われます。

まとめ
本記事では、タイガー魔法瓶が新たに開発した「ステンレス密封真空断熱パネル(TIVIP)」を採用した保冷輸送器材の導入について詳しく解説しました。この技術は、物流業界が抱える温度管理やエネルギー効率の課題に対し、次世代の断熱技術によるソリューションを提供するものです。
以下は、今回の内容をまとめた表です。
項目 | 内容 |
---|---|
新技術名 | ステンレス密封真空断熱パネル(TIVIP) |
導入開始日 | 2025年5月27日 |
主な製品 | 真空断熱ロールボックス、プロテクトBOXサーマル |
商品化予定 | 2026年度 |
協業パートナー | 日本通運、岐阜プラスチック工業 |
展示予定 | 2025年10月7日~10月13日 |
この新技術の導入により、物流業界のさらなる効率化と温度管理の向上が期待されています。今後の展開にも注目が集まります。
参考リンク: