2025年5月27日刊行『反万博の思想 加藤好弘著作集』が戦後前衛芸術とゼロ次元の全貌に迫る
ベストカレンダー編集部
2025年5月28日 13:29
反万博の思想刊行
開催日:5月27日

戦後前衛芸術の重要な一冊『反万博の思想 加藤好弘著作集』の発売
2025年5月27日、株式会社河出書房新社から、戦後日本の前衛芸術家である加藤好弘の著作を集めた『反万博の思想 加藤好弘著作集』が刊行されます。この書籍は、加藤好弘と彼が結成した前衛芸術集団〈ゼロ次元〉の全貌を明らかにするものであり、彼の思想やパフォーマンスの深淵に迫る内容となっています。
本書は、加藤好弘が残した文章や対談、さらには貴重な写真やポスターなどの図版を豊富に収録しており、彼の芸術表現の全体像を余すところなく伝えています。特に、1970年の大阪万博に対する批判や反発を背景にした彼の思想は、現代においても重要な視点を提供するものです。

加藤好弘とゼロ次元の歴史
加藤好弘は1936年に名古屋市で生まれ、多摩美術大学を卒業後、前衛芸術集団〈ゼロ次元〉を結成しました。彼の活動は、1963年元日に名古屋市栄で行われた「はいつくばり行進」に始まり、その後も各地で「儀式」と称したパフォーマンスを展開しました。この活動は、単なる芸術表現にとどまらず、社会や文化に対する批判的な姿勢が色濃く反映されています。
1970年の大阪万博を前に、加藤は「アンチ万博」を掲げて〈万博破壊共闘派〉を結成し、全国で活動を展開しました。彼らの活動は、肉体表現を通じて国家や資本に対抗するものであり、特に1969年に池袋アートシアターで行われた「万博粉砕ブラック・フェスティバル」における全裸パフォーマンスは、メディアに大きく取り上げられました。

加藤好弘の思想とその影響
加藤好弘の思想は、単に芸術の枠を超え、社会や文化に対する深い洞察を含んでいます。彼が提唱した「万博破壊」という概念は、グローバリズムに対する反発を示すものであり、彼の作品やパフォーマンスは、当時の日本社会に対する批判的なメッセージを発信していました。
特に、彼の肉体表現は、観客に対して強烈な印象を与えるものであり、彼のパフォーマンスを通じて、観客は自身の身体や社会との関係を再考する機会を得ることができました。このようなアプローチは、後のアンダーグラウンド文化やアートに多大な影響を与えています。

加藤好弘の言葉とその意味
加藤は「破産している文化の墓場である万博を、無理やり墓場荒しの犯罪者集団がエログロナンセンス暴力で万博ともども心中さしめようとする殉教者的人類愛はナゼ、エクスタシーなのか?」と問いかけています。この言葉は、彼がいかに万博を批判し、またその批判を通じて新たな文化の創造を目指していたかを示しています。
また、彼の言葉は、単なる芸術的表現に留まらず、社会や文化に対する深い問いかけを含んでおり、現代においてもその意義は失われていません。加藤の思想は、今後のアートや文化のあり方を考える上で、重要な指針となるでしょう。

『反万博の思想 加藤好弘著作集』の内容と構成
本書は、全536ページから成り、以下の章立てで構成されています:
- 1963 – 1969
- 第1章 ゼロ次元のはじまり
- 第2章 尻蔵界曼茶羅の世界
- 第3章 街を駆ける前衛
- 第4章 物語りとしてのゼロ次元
- 1969 – 1970
- 第5章 反万博の萌芽
- 第6章 万博破壊活動の思想と行動
- 第7章 反管理システムというメディア闘争
- 1970 – 1976
- 第8章 幻覚革命へトリップしよう!
- 第9章 エロス解放の神話考
- 第10章 クレージー・ラブの革命論
- 第11章 現代文明批判と芸術
- 第12章 東洋へカムバックせよ!
- 座談・インタビュー・随想
- 第13章 1960年代同志たちとの対話
- 第14章 ゼロ次元を語る
- 特別収録 加藤好弘アジテーション アジアンタリズム宣言
また、解題として細谷修平による「万博を破壊する肉体 ゼロ次元・加藤好弘の思想と活動」が収録されており、加藤好弘の活動とその影響を深く掘り下げています。

まとめ
『反万博の思想 加藤好弘著作集』は、加藤好弘の独自の視点とその活動を通じて、戦後日本の前衛芸術の重要性を再認識させる一冊です。彼の思想やパフォーマンスは、現代においても多くの示唆を与えており、アートや文化の未来を考える上で欠かせない要素となるでしょう。
本書の情報は以下の通りです:
書名 | 反万博の思想――加藤好弘著作集 |
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著者 | 加藤好弘 |
編者 | 細谷修平 |
発売日 | 2025年5月27日 |
定価 | 7,370円(税込) |
ISBN | 978-4-309-25798-3 |
書誌URL | こちら |
加藤好弘とゼロ次元の思想を深く理解するために、本書は必読の一冊となるでしょう。
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