ヴィム・ヴェンダースの幻のアートフィルム『ドリーム・アイランド』が5月15日までクラウドファンディング中
ベストカレンダー編集部
2025年5月8日 10:52
ドリーム・アイランドリマスター
開催期間:5月8日〜5月15日

ヴィム・ヴェンダースの幻のアートフィルム『ドリーム・アイランド』がデジタルリマスターへ
2025年5月8日、ヴィム・ヴェンダースが出演・ナレーションを担当した劇場未公開作品『ドリーム・アイランド ーヴィム・ヴェンダースの失われた夢』(以下『ドリーム・アイランド』)が、デジタルリマスターされることが発表されました。このプロジェクトは、3月から開始されたクラウドファンディングによって資金を集め、5月15日(木)23時59分に終了予定です。
この作品は、ヴェンダースが「一番好きな作品」と語った映画『夢の涯てまでも』(1991)のために制作された“夢のシークエンス”を基にしています。東京を舞台にした実写ドラマとして作られたこの幻の未公開アートフィルムは、長い間観ることができなかったため、多くのファンにとって待望のリリースとなります。

クラウドファンディングの進捗と激励コメント
クラウドファンディングの進捗に関連して、文化人類学者・批評家の今福龍太氏からの激励コメントが寄せられました。彼は「このフィルムが現実に蘇ること、それこそ私たちのもう一つの奇蹟」と述べ、作品の重要性を強調しています。
また、プロジェクトに関連する追加の場面写真も解禁され、作品の魅力がさらに広がっています。以下は公開された場面写真の一部です:
- エレクトロニク・ペインティング①
- エレクトロニク・ペインティング②
- ベンチに寝転ぶヴェンダース
- 天井を見上げるヴェンダース
- 「天使の羽」を持つ大ちゃん
- 街中の音をDATで拾い集めている男(ダットマン)

『ドリーム・アイランド』の背景と制作の経緯
本作は、約100分間の“夢のシークエンス”から厳選されたシーンをヴェンダース自身が編集し、彼が12歳の時に撮影した8mmフィルムも使用されています。この“夢のシークエンス”からは、後に“エレクトロニク・ペインティング”と呼ばれる平面作品が生まれました。ヴェンダースを語る上では欠かせない表現手法の一つです。
しかし、この幻の傑作は『夢の涯てまでも』のレーザーディスク版(1993年発売)の特典映像としてしか収録されておらず、観ることができない状態が続いていました。2020年1月には、ヴェンダースからアソシエイト・プロデューサーへのメールが届き、彼が再び『ドリーム・アイランド』を見たいという思いを表明しました。
その後、アソシエイト・プロデューサーの御影雅良氏は、ヴェンダースに『ドリーム・アイランド』のコピー(VHS)を送ることになり、これをきっかけにプロジェクトの立ち上げが実現しました。

プロジェクトの共同代表とその想い
今回のプロジェクトの共同代表である仲田早織氏は、故・仲田能也氏の娘であり、父が『ドリーム・アイランド』の撮影監督を務めていました。彼女は、父がこの作品に対してどのような想いを抱いていたのかを知りたいと考え、プロジェクトに参加することを決意しました。
仲田氏は、父が毎晩この作品を観ていたことを思い出し、彼女自身もその映像に魅了されていたことを語ります。彼女の父がどのようにこの作品に向き合っていたのかを知りたくなり、プロジェクトを通じてその思いを実現しようとしています。

まとめと今後の展望
『ドリーム・アイランド』は、ヴィム・ヴェンダースの独特な視点とアートフィルムとしての価値を持つ作品です。このデジタルリマスター化により、過去の作品が新たに蘇り、次世代に受け継がれることが期待されています。クラウドファンディングの成功により、制作の裏側を探るドキュメンタリーも制作予定であり、海外の映画祭への出品も視野に入れています。
以下に、今回のプロジェクトの重要な情報をまとめました。
項目 | 詳細 |
---|---|
作品タイトル | ドリーム・アイランド ーヴィム・ヴェンダースの失われた夢 |
制作年 | 1991年 |
上映時間 | 60分 |
クラウドファンディング終了日 | 2025年5月15日(木)23時59分 |
公式URL | プロジェクトページ |
このプロジェクトを通じて、ヴィム・ヴェンダースの独自の視点が再び世界に届けられることを期待したい。作品がどのようにリマスターされ、どのような形で観客に届けられるのか、注目が集まります。
参考リンク: