ispace、6月6日に向けた月面着陸挑戦!RESILIENCEランダーの軌跡
ベストカレンダー編集部
2025年5月7日 11:46
月面着陸への挑戦
開催日:6月6日
ispace、ミッション2マイルストーン Success 7「月周回軌道への到達」成功!
株式会社ispace(東京都中央区、代表取締役:袴田武史、以下ispace)は、2025年5月7日(水)午前5時41分(日本時間)に、ミッション2「SMBC x HAKUTO-R VENTURE MOON」において、月周回軌道投入マヌーバに成功したことを発表しました。この成功により、RESILIENCEランダーの月周回軌道投入が完了し、ミッション2のマイルストーンであるSuccess 7を達成しました。
この運用は、東京の日本橋にあるミッション・コントロール・センターから行われ、エンジニアは午前5時41分に最初の月周回軌道投入マヌーバを開始しました。主推進系の燃焼は9分間続き、無事に月の重力圏への軌道投入が確認されました。このマヌーバは、ミッション2で実施された全9回のマヌーバの中でも特に重要であり、長時間の燃焼を要するクリティカルな運用でした。
RESILIENCEランダーの旅路
RESILIENCEランダーは、2025年1月15日(水)15時11分にSpaceX社のFalcon9によって打ち上げられました。打ち上げ後、同日午後4時44分にはロケットから分離され、地球周回フェーズを経て、2025年2月15日(土)午前7時43分には月表面から約8,400㎞の地点を通過し、民間企業による商業用月着陸船として初めて「月フライバイ」に成功しました。
その後、RESILIENCEランダーは低エネルギー遷移軌道に入り、約2カ月間の深宇宙の旅を経て、地球から最も遠い約110万kmの地点まで到達しました。今後は、月周回軌道上で計画されているすべての軌道制御マヌーバを5月28日頃に完了させ、月面着陸に向けたカウントダウンを開始します。
袴田武史CEOのコメント
株式会社ispaceの代表取締役CEOである袴田武史氏は、RESILIENCEランダーが月周回軌道に到達したことに安堵の意を示し、ミッション1での運用経験を活かしながら、順調にマヌーバを成功させてきたことを誇らしく思うと述べました。また、この勢いを維持し、月面着陸成功に向けて丁寧な運用と入念な準備を進めていく意向を示しました。
ミッション2のマイルストーンとペイロード
ispaceは、打ち上げから月面着陸までの過程を10段階のマイルストーンに分けて設定しています。各マイルストーンは基準を設けて評価され、達成状況は適時に公開される予定です。このようにして、後続の開発中のミッションにフィードバックを行い、技術の向上を図っています。
また、ミッション2ではRESILIENCEランダーに6つのペイロードを搭載し、輸送する計画です。具体的には、以下のようなペイロードが含まれます:
- 高砂熱学工業株式会社の月面用水電解装置
- 株式会社ユーグレナの月面環境での食料生産実験を目指した自己完結型モジュール
- 台湾の国立中央大学宇宙科学工学科が開発した深宇宙放射線プローブ
- 株式会社バンダイナムコ研究所の「GOI宇宙世紀憲章プレート」
- ispaceの欧州法人ispace EUROPEが開発したマイクロローバー「TENACIOUS」
- スウェーデンのアーティストによる「ムーンハウス」と呼ばれる赤い小さな家
さらに、RESILIENCEランダーには、ユネスコによる人類の言語と文化遺産を保護するためのメモリーディスクも搭載されています。ispaceは、日・米・欧の3法人でそれぞれの地域の文化や多様性を活かしながら、統合的なグローバル企業として宇宙開発を進めています。
今後のミッション計画
2025年1月15日に日本法人が主導するミッション2の打ち上げを完了したispaceは、最短で2025年6月6日に月面着陸へ再挑戦する予定です。続く2026年には米国法人が主導するミッション3の実行を計画しており、2027年には現在日本で開発中のシリーズ3ランダー(仮称)を用いたミッション4(旧ミッション6)を予定しています。
これらのミッションを通じて、ispaceは世界中の政府、企業、教育機関からの高まる需要に応えるため、ミッション3およびそれ以降のミッションにおいてペイロードサービス契約とデータサービスを提供することを目指しています。
ispaceについて
ispaceは「人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界へ」というビジョンのもと、月面資源開発に取り組む宇宙スタートアップ企業です。日本、ルクセンブルク、アメリカの3拠点で活動し、約300名のスタッフが在籍しています。2010年に設立され、Google Lunar XPRIZEレースの最終選考に残った5チームのうちの1チームである「HAKUTO」を運営しました。
月への高頻度かつ低コストの輸送サービスを提供することを目指し、小型のランダー(月着陸船)と月探査用のローバー(月面探査車)を開発しています。さらに、民間企業が月でビジネスを行うためのゲートウェイとなることを目指し、月市場への参入をサポートするための月データビジネスコンセプトの立ち上げも行っています。
まとめ
今回のispaceの発表により、ミッション2における月周回軌道への到達が成功したことが明らかになりました。RESILIENCEランダーは、今後月面着陸に向けた重要なステップを踏み出します。ミッション2では、さまざまなペイロードを搭載し、宇宙開発における新たな挑戦を続けていく予定です。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| ミッション名 | Mission 2 “SMBC x HAKUTO-R VENTURE MOON” |
| 月周回軌道投入成功日時 | 2025年5月7日(水)午前5時41分(日本時間) |
| RESILIENCEランダー打ち上げ日時 | 2025年1月15日(水)15時11分(日本時間) |
| 月フライバイ成功日時 | 2025年2月15日(土)午前7時43分(日本時間) |
| 今後の予定 | 2025年6月6日(月面着陸予定) |
| 搭載ペイロード数 | 6つ |
このように、ispaceのミッションは着実に進行しており、今後の宇宙開発においても重要な役割を果たすことが期待されています。
参考リンク: