八幡営農と国際ドローン協会、5月6日からデュラム小麦国産化に向けた提携開始
ベストカレンダー編集部
2025年5月6日 21:53
デュラム小麦国産化開始
開催日:5月6日

業務提携の発表と背景
2025年5月6日、株式会社八幡営農(代表:前田祥道)と一般社団法人国際ドローン協会(代表理事:榎本幸太郎、以下「IDA」)が業務提携を締結し、両社の強みを活かした新たな事業展開を開始することが発表されました。この提携は、日本の農業における最先端技術の導入を目指し、特にデュラム小麦の国産化に挑戦するものです。
八幡営農は、デュラム小麦の栽培が気候的に難しい日本において、国産化を進めるために自社で栽培したデュラム小麦「セトデュール」を用いた「加古川パスタ」の製造・販売を行っています。しかし、デュラム小麦は乾燥した気候を好み、高温多湿な日本では赤カビ病の発生が懸念され、安定した栽培が困難な状況が続いていました。

提携の目的とIDAの技術支援内容
この提携の目的は、IDAが持つドローンおよび農業デジタル技術のノウハウを活用し、デュラム小麦の安定生産と地域農業の高度化を図ることです。IDAは、これまで約10年にわたってドローンを活用した農業支援を行ってきました。今回の提携では、以下の先進的な農業DX技術を八幡営農に提供します。
- スペクトラムカメラによる作物の生育状況分析と病害兆候の検知
- 施肥・防除の最適タイミングの可視化と管理
- 航空測量による農地のオルソ画像生成と地形均平解析
- ドローンによる超精密な薬剤散布技術
- 作業履歴や薬剤使用量のデジタル記録と活用
特に、IDAが2024年に千葉県東庄町で実施した4機体制・約1,000ヘクタールの大規模防除作業は、すべて国家資格を有するパイロットが担当し、国内における最先端スマート農業モデルの確立事例として高く評価されました。
人材育成と地域に根ざしたスマート農業の実装
本提携における中核的なテーマの一つが、「人材育成と地域に根ざしたスマート農業の実装」です。八幡営農は、今後自社内でドローンを活用した薬剤散布業務を本格的に展開し、農作物の品質向上や病害防除の精度向上、省力化・効率化を追求していく方針を掲げています。
IDAは「ドローン技術の現場定着」を目指し、操縦技術の習得から国家資格の取得、現場での実践運用まで一貫した支援体制を構築しています。特に、農業用ドローンの操縦には国家資格「一等/二等無人航空機操縦士」の取得を必須とする独自のポリシーを採用しており、以下の理念を持っています。
- 第三者の理解と信頼を得るための「見える安全性」
- 操縦技術と知識の高度化による事故防止と作業精度の最大化
- 社会全体でのドローン理解の促進と業界標準の引き上げ
2024年に実施された千葉県東庄町での防除作業では、4名のすべてのパイロットが「一等無人航空機操縦士」資格を有し、無事故・高精度の実績を達成しています。これにより、農業の現場におけるドローン活用の信頼性を社会に示す重要なモデルケースとなっています。
八幡営農の未来の展望とIDAとの連携
八幡営農では、すでにIDAで訓練を受けた人材が薬剤散布に従事しており、今後さらに社内から新たな操縦者を育成し、持続可能で自立したドローン運用体制の構築を目指しています。また、IDAの育成プログラムでは以下のような実践的・多角的なスキルが養成されます。
- 農薬・肥料の種類や希釈倍率、適正使用方法に関する知識
- スペクトラムカメラを用いた病害の早期発見と生育分析
- 航空測量・オルソ画像の生成と圃場均平の判定
- ドローン機体の保守整備、トラブル時の対応
- 散布量・生育履歴などのデータ管理と経営分析への応用
これにより八幡営農は、単なる操縦者の育成にとどまらず、経営判断や施策立案に資するデータを現場から生み出せる「農業DXオペレーター」を自社で育成・配置する体制へと進化していきます。
今後は、薬剤散布業務に加え、ドローンを活用した農地調査、播種支援、物流支援、防災対応などへの応用範囲を広げる構想があり、IDAとの連携を軸に、地域農業の新しい担い手像のモデルケースとして「自立型スマート農業法人」の確立を目指していくことが期待されています。
提携企業の情報
ここで、提携企業の情報を整理します。
企業名 | 所在地 | 代表者 | 事業内容 |
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株式会社八幡営農 | 兵庫県加古川市八幡町船町16 | 前田 祥道 |
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一般社団法人国際ドローン協会(IDA) | 東京都江東区青海2丁目7-4 the SOHO 917 | 榎本 幸太郎 |
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この提携を通じて、八幡営農とIDAは「デュラム小麦の国産化」という前例の少ない挑戦に取り組み、農業の省力化・デジタル化・次世代化を推進していくことが期待されます。
今後、八幡営農はドローンによる薬剤散布事業の自社展開を本格化させ、IDAとともに「農業の持続可能な未来づくり」に貢献し、地域農業のブランド力強化、人材育成、6次産業化の推進を目指していきます。