ispaceのRESILIENCEランダー、5月7日に月周回軌道到達予定!次のステップに注目
ベストカレンダー編集部
2025年4月25日 05:42
月周回軌道到達
開催日:5月7日
ispace、ミッション2マイルストーンSuccess 6を達成
株式会社ispace(東京都中央区、代表取締役:袴田武史、証券コード9348)は、2025年4月24日(木)午後7時00分(日本時間)に、Mission 2 “SMBC x HAKUTO-R VENTURE MOON”(以下、ミッション2)において、月周回軌道投入(Lunar Orbit Insertion : LOI)前に予定していたすべての深宇宙軌道制御マヌーバを完了したことを発表しました。これにより、ミッション2マイルストーンのSuccess 6を達成したことになります。
この重要なマヌーバは、東京の日本橋にあるミッション・コントロール・センターから実施されました。ispaceのエンジニアは、計画に沿って8回目の軌道制御マヌーバを行い、RESILIENCEランダーは月周回軌道へ投入する前にすべての軌道制御マヌーバを完了しました。現在、RESILIENCEランダーは計画通りの軌道で安定した状態を保っており、次のステップである5月7日のSuccess 7「月周回軌道への到達」に備えています。
RESILIENCEランダーの進捗と今後の計画
RESILIENCEランダーは、2025年1月15日(水)15時11分(日本時間)にSpaceX社のFalcon9によって打ち上げられ、同日午後4時44分(午前7時44分24秒 協定世界時)にロケットから分離されました。地球周回フェーズを経て、2025年2月15日(土)午前7時43分(日本時間)には月表面から高度約8,400㎞の地点を通過し、民間企業による商業用の月着陸船としては史上初となる「月フライバイ」に成功しました。
その後、RESILIENCEランダーは低エネルギー遷移軌道上を約2か月間航行し、地球から最も離れた距離で約110万kmの地点まで到達しました。この深宇宙の旅を経て、いよいよ月へのアプローチ体制に入る準備が整いました。
ミッション2のマイルストーン
ispaceは、ミッションの打ち上げから月面着陸までの過程で10段階のマイルストーンを設定しています。各マイルストーンには達成基準が設けられており、評価結果は後続の開発中のミッションにフィードバックされます。進捗状況は適時に公開される予定です。
以下は、ミッション2の主なマイルストーンです:
- Success 1: 打上げ成功
- Success 2: 地球周回フェーズ完了
- Success 3: 月フライバイ成功
- Success 4: 低エネルギー遷移軌道への移行
- Success 5: 深宇宙軌道制御マヌーバ完了
- Success 6: 月周回軌道投入前のすべての深宇宙軌道制御マヌーバ完了
- Success 7: 月周回軌道への到達(予定)
- Success 8: 月面着陸準備完了(予定)
- Success 9: 月面着陸成功(予定)
- Success 10: ミッション完了
ミッション2で運搬するペイロード
ミッション2のRESILIENCEランダーには、6つのペイロードが搭載されています。これらのペイロードは、さまざまな目的で開発されており、宇宙探査の新たな可能性を切り開くことが期待されています。
具体的には、以下のペイロードが含まれています:
- 高砂熱学工業株式会社の月面用水電解装置
- 株式会社ユーグレナの月面環境での食料生産実験を目指した自己完結型モジュール
- 台湾の国立中央大学宇宙科学工学科が開発する深宇宙放射線プローブ
- 株式会社バンダイナムコ研究所の「GOI宇宙世紀憲章プレート」
- ispaceの欧州法人ispace EUROPEが開発したマイクロローバー”TENACIOUS”
- スウェーデンのアーティストによるムーンハウスと呼ばれる赤い小さな家
さらに、RESILIENCEランダーには、人類の言語と文化遺産を保護したユネスコのメモリーディスクも搭載されています。
ispaceのビジョンと今後の展開
株式会社ispaceは、「Expand our planet. Expand our future. ~人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界へ~」をビジョンに掲げ、月面資源開発に取り組んでいる宇宙スタートアップ企業です。日本、ルクセンブルク、アメリカの3拠点で活動し、約300名のスタッフが在籍しています。
2010年に設立されたispaceは、Google Lunar XPRIZEレースの最終選考に残った5チームのうちの1チームである「HAKUTO」を運営してきました。月への高頻度かつ低コストの輸送サービスを提供することを目的に、小型のランダー(月着陸船)と月探査用のローバー(月面探査車)を開発しています。また、民間企業が月でビジネスを行うためのゲートウェイとなることを目指し、月市場への参入をサポートするための月データビジネスコンセプトの立ち上げも行っています。
今後は、2026年に米国法人が主導するミッション3、そして2027年に日本で開発中のシリーズ3ランダー(仮称)を用いたミッション4(旧ミッション6)の実行を予定しています。これにより、世界中の政府、企業、教育機関からの高まる需要に応えるため、ispaceはミッション3およびそれ以降のミッションのペイロードサービス契約とデータサービスを提供していく方針です。
まとめ
ispaceは、ミッション2において重要なマイルストーンであるSuccess 6を達成し、月周回軌道投入に向けた準備が整いました。RESILIENCEランダーは、様々なペイロードを搭載し、宇宙探査の新たな可能性を切り開くことが期待されています。今後の展開にも注目が集まります。
| マイルストーン | 達成状況 |
|---|---|
| Success 1 | 打上げ成功 |
| Success 2 | 地球周回フェーズ完了 |
| Success 3 | 月フライバイ成功 |
| Success 4 | 低エネルギー遷移軌道への移行 |
| Success 5 | 深宇宙軌道制御マヌーバ完了 |
| Success 6 | すべての深宇宙軌道制御マヌーバ完了 |
| Success 7 | 月周回軌道への到達(予定) |
このように、ispaceは確実に進展を遂げており、今後のミッションにおいてもさらなる成果を期待されます。
参考リンク: