王谷晶『ババヤガの夜』が英国の翻訳ミステリー賞にノミネート!5月29日に最終候補発表
ベストカレンダー編集部
2025年4月16日 21:41
翻訳ミステリー賞発表
開催期間:5月29日〜7月3日

王谷晶『ババヤガの夜』が英国推理作家協会の翻訳ミステリー賞にノミネート
株式会社河出書房新社(東京都新宿区)は、王谷晶による小説『ババヤガの夜』(河出文庫/2023年5月刊)の英訳版『The Night of Baba Yaga』(訳:サム・ベット/Faber & Faber/2024年9月刊)が、英国推理作家協会(CWA)主催の世界的ミステリー文学賞「インターナショナル・ダガー賞」にノミネートされたことを発表しました。この賞は、翻訳ミステリーの中で優れた作品に与えられるものであり、王谷晶の作品が選ばれたことは大きな快挙と言えます。
最終候補作は2025年5月29日に発表され、受賞作は同年7月3日に発表される予定です。これまで同賞には、東野圭吾や横山秀夫、伊坂幸太郎といった著名な作家の作品がノミネートされており、王谷晶の作品がその仲間入りを果たしたことは、日本のミステリー文学における新たな一歩を示しています。

作品の概要と評価
『ババヤガの夜』は、暴力団の会長令嬢の護衛を任された主人公が、裏社会の闇と少女の抱える秘密に迫っていく過程を描いたスリリングかつエモーショナルな作品です。この作品は「シスター・バイオレンスアクション」と称され、2020年の刊行以来、国内で大きな反響を呼んでいます。特に、日本推理作家協会賞〈長編および連作短編集部門〉の候補にも選出されており、その評価は高まる一方です。
英訳版の刊行に際しては、「テレグラフ」スリラー・オブ・ザ・イヤーに選出され、「クライム・フィクション・ラバー」最優秀翻訳賞(編集者選)を受賞しました。また、ロサンゼルス・タイムズの「この夏読むべきミステリー5冊」にも選ばれ、英国をはじめとする各国から高い評価を得ています。

海外メディアからの評価
本作に対する海外メディアからの評価は非常に高く、以下のようなコメントが寄せられています:
- The Times: 「怒り、ユーモア、スリル満載」
- The Guardian: 「激しい暴力と素晴らしい優しさが交互に訪れる」
- Los Angeles Times: 「女の力を描いた、シャープでストイックな物語」
- Crime Fiction Lover: 「女性主導のリベンジ・スリラーの極致」
- Tokyo Weekender: 「手に汗握る、壊れないスリラー」
これらの評価は、王谷晶の作品が持つ独自の視点や、女性のエンパワメントを描く力強さを示しています。特に、物語の中で描かれる二人の女性キャラクターの関係性は、読者に勇気を与えるものとして強く印象に残ります。

王谷晶と英訳者サム・ベット
王谷晶は1981年東京都生まれの作家で、著書には『完璧じゃない、あたしたち』『君の六月は凍る』『他人屋のゆうれい』などがあります。彼女の作品は、常に新しい視点を提供し、読者に深い感動を与えるものとして評価されています。
英語版の翻訳を手掛けるサム・ベットは、1986年ボストン生まれの小説家・翻訳者であり、三島由紀夫や太宰治の作品を多数翻訳しています。彼の翻訳は、原作の魅力を損なうことなく英語圏の読者に届けることを目的としており、王谷の作品もその一環として高く評価されています。

『ババヤガの夜』の書籍情報
書籍名 | 著者 | 翻訳者 | 仕様 | 発売日 | 価格 | ISBN | 出版社 |
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ババヤガの夜 | 王谷晶 | – | 文庫判/並製/208ページ | 2023年5月9日 | 748円(税込) | 9784309419657 | 河出書房新社 |
The Night of Baba Yaga | Akira Otani | Sam Bett | 12.9 x 1.12 x 19.81 cm/224頁 | 2024年9月12日 | £9.99 | 9780571391073 | Faber & Faber |
王谷晶の『ババヤガの夜』は、これまでの日本のミステリー文学に新たな風を吹き込む作品であり、国境を越えて多くの読者に愛されることが期待されています。今後の受賞の行方に注目が集まる中、作品の魅力をより多くの人々に伝えることができるでしょう。
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