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松山レポ:海外ロケと国際共同製作の要点

第17回アジアTV会議

開催期間:2月12日〜2月14日

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第17回アジアTV会議
海外ロケって具体的に何が大変なの?
国ごとの労働基準や撮影規制、許可手続き、機材搬入の制約、照明や食事の制限など運用ルールが異なる点が厄介。言語より先に現地法令・体制の確認と早期の現地連携が不可欠です。
助成金ってどれくらい頼れるの?
助成金は制作費の一部を補い、プロジェクト成立を後押しすることがあるが、助成金目当てで海外を選ぶべきではない。演出上の意義を最優先に市場設計や出資・リスク配分を検討する必要があります。

松山で交わされた「アジアから世界へ」の実践的議論

2026年2月12日(木)から14日(土)に愛媛県松山市で開催された「第17回 アジアテレビドラマカンファレンス in 松山」では、テーマ「アジアから世界へ〜コラボレーション・共同制作の実現〜」のもと、国内外の制作者らによる議論が交わされました。株式会社IMAGICA GROUPのグループ会社である株式会社ロボット(ROBOT)と株式会社ピクス(P.I.C.S.)からは、両社所属のプロデューサーが登壇し、海外ロケや国際共同製作の実務的な経験と課題について具体例を交えて報告しました。

本稿は、2026年3月2日 16時00分付けのIMAGICA GROUPのプレスリリースに基づき、登壇内容、各社の取り組み、登壇者の経歴や担当作品、会議の位置づけなどを網羅的に整理して伝えます。モデレーターはエンタメ社会学者の中山淳雄氏が務め、登壇したのはROBOTの小出真佐樹プロデューサーとP.I.C.S.のハンサングンプロデューサーです。

【イベントレポート】ROBOTおよびP.I.C.S.プロデューサーが、「第17回 アジアテレビドラマカンファレンス」にて講演 画像 2

海外ロケと現場で直面する「やり方の違い」

講演ではまず、海外ロケで実際に起こる問題や準備のポイントが共有されました。ROBOTの小出真佐樹プロデューサーは、企画段階から関わった4作品の経験を踏まえ、各国の労働基準や撮影規制の理解が不可欠である点を強調しました。

言語の障壁だけではなく、制作現場の運用ルールや労働環境が国ごとに異なるため、現場のやり方の違いを前提に準備を進める必要があると述べています。特に韓国では労働基準が厳格に運用されており、日本の制作慣行とは異なる点が多く、事前の調整が欠かせないと説明しました。

【イベントレポート】ROBOTおよびP.I.C.S.プロデューサーが、「第17回 アジアテレビドラマカンファレンス」にて講演 画像 3

具体的な現場での違いと対処法

小出プロデューサーは、企画段階で現地の法規や撮影許可手続き、労働時間管理、機材搬入・搬出の規則などを確認し、現地スタッフや協力会社との協働体制を早期に築くことが重要であると述べました。これにより、撮影中のトラブルを未然に防ぐ意図があります。

また、文化的特徴や制度上の違いを無視して進めると、演出やスケジュールに影響が出るため、制作チーム全体で共通認識を持つこと、現地の慣行を尊重しつつ自社の制作基準を調整する実務的な工夫が必要だと述べられました。

【イベントレポート】ROBOTおよびP.I.C.S.プロデューサーが、「第17回 アジアテレビドラマカンファレンス」にて講演 画像 4

事例:『岸辺露伴』シリーズの海外撮影

P.I.C.S.のハンサングンプロデューサーは、『岸辺露伴』シリーズの映画版『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』の海外撮影経験を紹介しました。日本でドラマシリーズ8作を制作したのち、9作目の映画でフランス・ルーヴル美術館を撮影地に選び、以降はイタリアでのオールロケも実施しています。

ルーヴル美術館での撮影には厳しい規制が伴い、照明や食事の制限など細かな運用ルールがあったことを挙げ、現地チームとの綿密な調整と、監督とプロデューサー間で実写ならではの表現を追求するための議論を重ねたプロセスを説明しました。

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制作資金と国際共同製作の戦略的考察

海外ロケを成立させるうえで助成金制度が重要な役割を果たす点も両プロデューサーが指摘しました。助成金は制作費の一部を補う手段となり得ますが、「助成金のために海外へ行くのではない」という共通認識が示されました。

両氏は、演出上のリアリティや作品の意義を優先した結果として海外ロケが選択されるべきであり、現地の助成金制度や支援策はあくまで実現を後押しする要素であると述べています。日本国内での実写作品が数億円規模の製作費を回収するハードルが高い現状を踏まえ、助成金が制作成立の重要な要因となるケースがあると説明しました。

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国際共同製作を成立させるための視点

小出プロデューサーは、国際共同製作をどう設計するかは発注者や出資者の期待とターゲット市場によって大きく変わると述べました。重要なのは「どの国をターゲットにするのか」を明確にすることで、日本公開を優先するのか、台湾や香港など他地域を起点にするのか、あるいは多地域同時展開を狙うのかによって制作や配給の戦略が変わると指摘しました。

ハンサングンプロデューサーは、制作会社として自社出資の選択肢も検討する立場から、そのシーンを海外で撮る価値、海外と組む意義、自社がどの程度のリスクを取るかを常に検討していると述べ、戦略的にリスクとリターンを天秤にかける姿勢を示しました。

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助成金・資金面の実務

助成金制度の活用事例として、制度を導入している国での撮影がプロジェクト成立につながったケースが紹介されました。助成金額や適用条件は国や地域で異なるため、適切な情報収集と申請準備が必要です。

ただし両者は、助成金獲得だけを目的に海外ロケを選ぶのではなく、作品価値や演出的意図を最優先に判断すべきだと繰り返しました。助成金の有無は選択肢の一つとして扱うという立場です。

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IMAGICA GROUPの役割と各社のプロファイル

モデレーターの中山淳雄氏からの問いに対して、小出プロデューサーはIMAGICA GROUPとして自社IPを世界に広げる姿勢が明確であること、2025年のカンヌ国際映画祭で発表した「IMAGICA GROUPオリジナル映画製作プロジェクト」に触れ、グループ全体で海外展開を図る方針を示しました。

ハンプロデューサーは、IMAGICA GROUPは予算管理に慎重でありながら各社に一定の裁量を与え、エンタテインメント開発を支援する体制が整っていると説明しました。P.I.C.S.では韓国との新たな共同製作を進めており、韓国側の原案を日本の作家が脚色、制作は韓国で行う形で準備が進行中です。さらに、来月(2026年3月)に韓国支店をオープン予定であることも紹介されました。

株式会社ロボット(ROBOT)
ビジョン:エンタテインメントを通じて勇気と希望を社会に与える。映画・ドラマ・アニメ・TVCM・体験型アトラクションなど幅広く企画・制作。
URL:https://www.robot.co.jp/
株式会社ピクス(P.I.C.S.)
概要:2000年にMTVのクリエイティブ部門からスピンアウト。音楽ビデオ、ライブ映像、CM、映画、ドラマ、アニメ、インタラクティブコンテンツなどを制作。クリエイターのマネジメントや独自IP開発も実施。
URL:https://www.pics.tokyo
株式会社IMAGICA GROUP
代表者:代表取締役社長 社長執行役員 グループCEO 長瀬俊二郎
所在地:〒105‐0022 東京都港区海岸一丁目14番2号
創業:1935年2月18日 / 資本金:1億円
事業内容:映像コンテンツ事業、映像制作技術サービス事業、映像システム事業等のグループ統括。URL:https://www.imagicagroup.co.jp/
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登壇者プロフィールと代表作・受賞歴

小出真佐樹(ROBOT)— 1967年生まれ。東映宣伝部で12年間勤務後、2000年にROBOT入社。劇場配給やアソシエイトプロデューサー業務を長年担当し、日韓映像業界の懸け橋となる事業も展開中です。主な担当作品には『22年目の告白 -私が殺人犯です-』(2017)、『見えない目撃者』(2019)、『太陽は動かない』(2021)、『聖地X』(2021)、『最後まで行く』(2023)などがあります。受賞歴には『22年目の告白 -私が殺人犯です-』でのエランドール賞 プロデューサー奨励賞(2018)があります。

ハンサングン(P.I.C.S.)— 韓国出身。広告会社でのアートデザイナー/プランナー経験を経て、広告やコンテンツの企画・プロデュースを担当。主な作品にShort Film「B級文化遺産」(2014)、NHK特集ドラマ『岸辺露伴は動かない』シリーズ(2020~)、映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』(2023)、『ソニックビート』(2024)、映画『岸辺露伴は動かない 懺悔室』(2024)などがあり、国内外で複数の賞を受賞しています。

会議での総括と主要ポイントの整理

講演は、成功体験のみならず失敗談も含めた継続的な対話の重要性を最後に確認して締めくくられました。両プロデューサーは、互いの国の事情やクリエイター情報を共有し、信頼関係を築くことが国境を越えた共同製作を実現するための鍵であると述べています。

海外ロケや国際共同製作は多くの調整や準備を要しますが、作品の演出的意図とリアリティを最優先に据えたうえで助成金や現地協力体制を戦略的に活用することが求められる、という点が繰り返し示されました。IMAGICA GROUPおよびそのグループ会社は、こうした判断を積み重ねつつアジアを軸にした展開を進めています。

項目 内容
発表元 IMAGICA GROUP(プレスリリース日:2026年3月2日 16時00分)
イベント名 第17回 アジアテレビドラマカンファレンス in 松山
開催日 2026年2月12日(木)~14日(土)
会場 愛媛県県民文化会館(松山市)
テーマ アジアから世界へ〜コラボレーション・共同制作の実現〜
登壇者 小出真佐樹(ROBOT・プロデューサー)、ハンサングン(P.I.C.S.・プロデューサー)、モデレーター:中山淳雄(エンタメ社会学者)
主要議題 海外ロケの「やり方の違い」、ルーヴル美術館やイタリアでの撮影事例、助成金の活用、国際共同製作の戦略、IMAGICA GROUPのグローバル展開
IMAGICA GROUP代表 長瀬俊二郎(グループCEO)
P.I.C.S.の今後の動き 韓国との共同製作進行中、韓国支店を2026年3月に開設予定
関連URL IMAGICA GROUP:https://www.imagicagroup.co.jp/、ROBOT:https://www.robot.co.jp/、P.I.C.S.:https://www.pics.tokyo

以上が、2026年2月に松山で開催された第17回アジアテレビドラマカンファレンスにおけるROBOTおよびP.I.C.S.プロデューサーの講演内容の整理です。国際共同製作に向けた実務的な知見、文化や制度の違いへの対応、助成金や資金面の役割、そしてIMAGICA GROUPグループとしての海外展開の姿勢といったポイントを体系的にまとめました。