六次産業の日 (記念日 1月23日)

六次産業の日

農家が自分で加工して、自分で売る。一見シンプルなこの発想が、「六次産業」という概念として体系化されたのは1990年代のことでした。提唱したのは東京大学名誉教授の農業経済学者・今村奈良臣で、一次産業(農林水産業)・二次産業(加工)・三次産業(流通・販売)を統合して担う産業形態を指す造語です。2月13日は、その六次産業を広く普及させることを目的に制定された「六次産業の日」です。

記念日を制定したのは、愛知県名古屋市に本社を置く株式会社グロース・フード。居酒屋「芋んちゅ」などの飲食店経営や食を通じた郷土活性化事業、フランチャイズコンサルタント業務を手がける同社が、日本の六次産業を盛り上げることを目的として申請・登録しました。日付の「2月13日」は、1×2×3=6という掛け算に由来しています。

今村が当初この概念を表す式として使ったのは「1+2+3=6」という足し算でした。しかし後に、足し算では各産業の有機的な結びつきを十分に表せないと考え、「1×2×3=6」の掛け算に改めています。掛け算にすることで、どれか一つの産業が機能しなければ全体がゼロになるという不可分の連携を示す意味が加わりました。「六次産業の日」の日付がこの掛け算を採用しているのは、この考え方を体現しているためです。

六次産業化の具体的な形は多様です。果樹農家がジャムや果汁飲料に加工して直売所やECサイトで販売する、漁師が水産加工品をブランド化して料理体験施設を運営するといった事例が全国各地に存在します。農林水産省は2010年に「六次産業化・地産地消法」を施行し、事業計画の認定制度を整備。2024年3月末時点で認定件数は約2,400件に達しています。

今村奈良臣は2020年2月28日に85歳で亡くなっています。自身が提唱した六次産業という言葉が農政の柱の一つとして法律に組み込まれ、記念日まで生まれるほど社会に定着するのを見届けた晩年でした。