「適サシ肉」の日 (記念日 1月15日)
2017年1月15日、東京・浅草の老舗すき焼き店「ちんや」の六代目当主・住吉史彦氏が「過剰な霜降り肉は、もう使わない」と宣言しました。バブル期以降、日本の食卓で「霜降り=高級」が常識となった時代に、サーロインの脂肪交雑率が平均50%、多いものでは75%にも達するほど過剰になった現代の霜降り肉の実態を問題視したのです。脂が多すぎると赤身本来の旨みが埋もれ、数切れ食べただけで胃が重くなってしまいます。
「適サシ肉」とは住吉氏が生み出した造語で、株式会社ちんやが商標登録しています。脂の量を抑えながらも均一に細かいサシが入った黒毛和牛の雌牛を厳選し、脂肪交雑の等級は最高位の5等ではなく4等を基準とする考え方です。霜降りを全否定するのではなく「適度なサシ」に美味しさの本質を見出す、繊細な線引きが込められています。ちんやは明治時代から続く浅草の老舗で、長く獣肉料理や牛鍋を提供してきた歴史を持ちます。その店が長年の常識を自ら壊す宣言をしたことは食の業界に大きな波紋を呼び、文春オンラインが「2017年フード部門ベスト5」に選出するなど専門メディアでも広く取り上げられました。記念日は一般社団法人・日本記念日協会により認定・登録されています。
胴体重量480kg以下の牛、飼育月齢30ヶ月以上、きめ細かいサシの入り方といった複数の基準を満たすことで、住吉氏は「適サシ」を感覚ではなく言葉で定義しました。赤身の旨みと脂の甘みが過不足なく共存するこのバランスこそが、すき焼きを最後まで美味しく食べ続けられる理由だと言います。「適サシ肉の日」は毎年1月15日。霜降りブームに乗るより、肉本来の美味しさを追い求めた選択が、記念日として残っています。