補幸器の日 (記念日 1月10日)

補幸器の日

補聴器を買ったのに、結局使えなかった——そういう経験をした人は少なくありません。日本では難聴を自覚している人が約1430万人いるにもかかわらず、補聴器の普及率は15%程度にとどまっています。アメリカの30%、イギリスの42%と比べると、この数字の低さは際立っています。補聴器は高額な買い物にもかかわらず、購入後に「合わない」「うるさいだけ」と感じて引き出しにしまわれてしまうケースが後を絶ちません。普及率が低い背景には、販売制度や福祉制度の違いもありますが、補聴器そのものへの誤解や、購入後のサポート不足という問題も大きく関わっています。

1月10日は「補幸器の日」です。神奈川県川崎市に本社を置く有限会社堺堂が制定し、2020年(令和2年)に一般社団法人・日本記念日協会に認定・登録されました。「補聴器」を「補幸器」と書き換えたこの名称には、補聴器を使うすべての人が幸福を補えるようにという願いが込められています。

記念日の日付は、同社・大貫悦信社長の父親の誕生日に由来します。父親が難聴になったとき、補聴器を購入しても慣れずに何度も諦めたという経験が、大貫社長が補聴器研究に本格的に取り組むきっかけとなりました。補聴器がうまく使えない大きな理由のひとつは、「音は耳ではなく脳で聞く」という点があまり知られていないことです。長年聞こえにくかった脳が補聴器の音に慣れるまでには、一定の時間と繰り返しの調整が必要です。購入してすぐに「合わない」と感じてしまうのは、この慣れの過程を経ていないためです。

堺堂では、販売前に最長2か月間お試し用の補聴器を使ってもらい、その間に何度も調整を重ねます。補聴器に十分に慣れ、納得してから初めて販売するというスタイルです。「補聴器は慣れてから買うもの」という考え方を広めることが、この記念日の目的のひとつとなっています。