遺影撮影の日 (記念日 1月8日)
「もし今夜、自分に何かあったら、家族はどの写真を遺影に使うだろう」と考えたことはありますか。スマートフォンの中には無数の写真があるようで、いざ探してみると正面を向いた鮮明な一枚がなかなか見つからない、という声は少なくありません。そうした現実に向き合う形で広がってきたのが、生前に自ら遺影を撮影しておく文化です。
東京・巣鴨でシニア世代専門の写真館「えがお写真館」を運営する株式会社サンクリエーションが、この習慣を社会に根付かせようと制定したのが「遺影撮影の日」です。日付は「い(1)えい(8)とる日」という語呂合わせと、お正月の晴れやかな雰囲気の中で笑顔の写真を撮ってほしいという願いが重なり、1月8日に定められました。2017年(平成29年)に一般社団法人・日本記念日協会により認定・登録されています。
生前遺影の撮影サービスが写真館に登場し始めたのは2010年前後、ちょうど「終活」という言葉が世間に浸透し始めた時期と重なります。かつての遺影といえば、白黒で無表情、正面を向いた盛装の一枚が定番でした。それがいまや、好きな趣味の道具を手にした写真、旅先のお気に入りの景色を背景にした一枚など、その人の個性が滲む写真が選ばれるようになっています。シニア女性誌「ハルメク」の2019年調査では、終活に取り組む60〜74歳のうち「遺影を準備している」と答えた割合は女性14.3%に対し男性は5.7%と、女性が2.5倍多いという結果が出ています。
えがお写真館では、カメラマン・ヘアメイク・スタイリストがチームを組み、被写体が自然な笑顔になれるよう専門家の視点から撮影に臨みます。用意するプランは「遺影撮影」だけではありません。今この瞬間の自分の最高の一枚を残す「ベストショットプラン」、家族全員で記念写真に収まる「ご家族プラン」、還暦・喜寿・米寿・白寿などの長寿を祝う「記念日・長寿お祝いプラン」、父の日・母の日・敬老の日に子や孫から贈る「父の日・母の日・敬老の日プラン」など、人生の節目を丁寧に切り取る場として機能しています。東京だけでなく全国各地からシニア世代が訪れるのは、単なる写真撮影ではなく「今の自分を、きちんと記録したい」という気持ちの表れでしょう。
生前に遺影を撮っておくことは、残される家族が「どの写真にすればよいか」と迷う時間と悲しみを減らすことにもつながります。自分らしい一枚を自分の意志で選び、準備しておく。その一歩が、これからの日本で「当たり前の習慣」として根付く日が近づいているかもしれません。