ケーキの日 (記念日 1月6日)

ケーキの日

1879年(明治12年)1月6日、東京・上野の老舗菓子店「風月堂」が東京日日新聞に掲載した一則の広告が、日本におけるケーキ普及の歴史に深く刻まれている。その広告文には「文化は日々開けていき、すべてのものが西洋風になってきていますが、ただ西洋菓子(ケーキ)をつくっている人はいません。そこで当店では外国から職人を雇ってケーキをつくり、博覧会へ出品したところ大好評でした。ぜひご賞味ください」と記されていた。明治政府が文明開化を推し進める中、庶民に向けて西洋菓子を積極的にアピールした初期の例として、この広告はひとつの記念碑的出来事と見なされている。

「ケーキの日」は、この広告掲載日である1月6日を由来としており、記念日に関する複数の書籍にも記載が確認されている。ただし、誰がいつ制定したのか、どのような目的で設けられたのかについては明確な記録がなく、その起源は定かではない。にもかかわらず、広く認知されているのは、それだけ「日本初のケーキ宣伝」という出来事が人々の関心を引き続けているからだろう。

ケーキにまつわる記念日は1月6日だけではない。毎月22日は「ショートケーキの日」とされているが、その理由がユニークだ。カレンダーで22日の真上の行には15日が位置しており、「ショートケーキの上には苺(いちご)がのっている」という見立てから生まれた語呂合わせである。15日は「いちごの日」でもある。さらに6月6日は「ロールケーキの日」、7月12日は「デコレーションケーキの日」、毎月6日は「手巻きロールケーキの日」、毎月8日は「ホールケーキの日」、毎月10日は「パンケーキの日」と、ケーキ関連の記念日は1年を通じて数多く点在している。

ケーキそのものについても、日本独自の文化が育まれてきた。英語の「cake」は本来、焼き菓子全般を指す広い概念だが、日本ではスポンジ生地にクリームを塗り果物を飾ったものが「ケーキ」の代名詞となっている。また、日本でケーキのサイズを表す際に用いられる「号」という単位は、かつて日本で使われていた尺貫法に由来する。1号は直径1寸(約3cm)に相当し、一般的な誕生日ケーキとして流通する5号は直径約15cm、6号は約18cmとなる。この「号」表記は今も製菓業界で広く使われており、洋菓子の中に日本の計量文化が息づいている例として興味深い。

明治の新聞広告から始まり、現代では多彩な記念日とともに年中行事に溶け込んだケーキ。その歴史をたどると、日本が西洋文化を受け入れ、独自の形へと昇華させてきた足跡が見えてくる。