東京消防出初式 (年中行事 1月6日)

東京消防出初式

江戸が焼け野原だった時代に始まった行事が、360年以上を経た今も東京の新春を彩っています。東京消防庁による「出初式(でぞめしき)」は、毎年1月に消防署員らが消防動作の型を演習・披露する年始の恒例行事です。「出初式」という言葉は新年の季語にもなっており、東京のみならず全国各地の消防関係者がこの時期に仕事始めの行事として実施しています。

その起源は1659年(万治2年)正月4日にさかのぼります。旗本が率いる定火消(じょうびけし)が上野東照宮に集い、一年の働きを誓ったのが始まりとされています。定火消とは江戸幕府が設けた消防組織のことで、武家地の火消しを担う幕府直轄の職でした。この2年前の1657年(明暦3年)には「明暦の大火」が発生し、江戸の市街地の大半が灰燼に帰していました。死者は数万人にのぼるともいわれ、江戸の町は復興の途上にありました。そうした状況のなかで行われた誓いの集いが出初式の原型です。現代の出初式では一斉放水・避難救助訓練などの消防演習が中心を占めますが、見どころはそれだけではありません。梯子乗り(はしごのり)や木遣り歌(きやりうた)といった江戸時代から受け継がれてきた伝統技能の披露も欠かせない演目で、梯子乗りは高さ数メートルの梯子の上で繰り広げられる曲芸的な技として、かつての火消したちの勇壮さを今に伝えます。消防団・消防車のパレード、消防職員や消防功労者への表彰など、地域によっても多彩な内容が加わります。

2021年(令和3年)の東京消防出初式は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて無観客での実施となりました。一方で、YouTube東京消防庁公式チャンネルでの生配信が行われ、午前9時30分からのスタートで、配信終了後も動画が視聴できる形で提供されました。会場に足を運べない状況でも、式典の様子を広く届ける工夫がとられた年として記録されています。