遺言の日 (記念日 1月5日)

遺言の日

遺産をめぐる相続トラブルは、過去10年で約2倍に増加しています。金額の大小は関係なく、むしろ1000万円以下の遺産をめぐる争いが全体の半数以上を占めるという実態があります。こうした背景から、公益財団法人・日本財団が1月5日を「遺言の日」として制定しました。日付は「い(1)ご(5)ん」と読む語呂合わせに加え、正月で家族が顔をそろえる時期であり、遺言について話し合う機会として適しているという理由からです。記念日は2016年(平成28年)に一般社団法人・日本記念日協会により認定・登録されました。

「遺言」という言葉は、日常では「ゆいごん」と読まれることが多いですが、法律用語としては「いごん」と読みます。民法上の遺言は、死後の法律関係を定めるための最終意思の表示であり、法律上の効力を生じさせるためには、民法960条に基づき定められた方式に従う必要があります。方式には自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3種類があり、それぞれ要件が異なります。自筆証書遺言は費用をかけず手軽に作成できる一方、形式不備で無効になるケースも少なくありません。公正証書遺言は公証人が関与するため法的な確実性が高く紛失リスクもありませんが、作成に費用と手間がかかります。日本財団の調査では、60歳以上でも遺言書を実際に作成している人は少数にとどまっており、準備が十分に進んでいない現状が明らかになっています。

2020年には法務局で自筆証書遺言を保管できる「遺言書保管制度」が始まり、紛失や改ざんのリスクを避けながら手軽に遺言書を残せる選択肢が広がりました。日本財団はこの日に合わせて「ゆいごん川柳」の募集や遺言・遺贈に関する意識調査を毎年実施しており、遺言書作成の普及啓発を続けています。遺言書は自分の意思を確実に伝える手段であるとともに、残された家族が争わずに済むための備えでもあります。