日本初の点字新聞「あけぼの」創刊記念日 (記念日 1月1日)
「視覚障害者が情報を得られるように」——その一文が掲載された創刊号が発行されたのは、1906年(明治39年)1月1日のことです。教育者・左近允孝之進(さこんじょう こうのしん)氏が創刊した「あけぼの」は、日本初の全国向け点字新聞として歴史に名を刻みました。明治末期、視覚障害者が新聞や雑誌から情報を得ることはほぼ不可能な時代。そんな状況を変えようとした一人の教育者の行動が、近代日本における点字メディアの出発点となりました。
左近允氏は1870年(明治3年)生まれ。早稲田大学の前身校にも縁のある人物で、創設者の大隈重信や高田早苗も「あけぼの」への賛同者として名を連ねています。内村鑑三、小西信八といった当時の著名人も支持しており、単なる障害者支援にとどまらない社会的な広がりを持った試みでした。発行母体は六光社で、日本盲人会が組織的な基盤を担っていました。
しかし左近允氏は1909年(明治42年)、わずか39歳で没します。死後は妻の今村増江氏が六光社の社長を引き継ぎ発行を続けましたが、「あけぼの」は1913年(大正2年)ごろに廃刊したとされています。創刊からわずか7年余りの歴史でしたが、視覚障害者に対して点字で情報を届けるという「あけぼの」の精神は消えませんでした。その理念は、現在も毎日新聞社が発行を続ける「点字毎日」に受け継がれています。
この記念日を制定したのは、東京都新宿区高田馬場に事務局を置く社会福祉法人・桜雲会(おううんかい)です。点字・録音図書の出版を手がける同法人は1952年(昭和27年)に設立され、日本最古の医学書専門点字出版所としても知られています。「あけぼの」創刊の日を記念日とすることで、日本の点字メディアの歴史を広く伝えることを目的としています。なお、11月1日は「点字記念日」として別途定められており、点字に関連する記念日は年に複数あります。記念日は一般社団法人・日本記念日協会により認定・登録されています。