産科瘻孔をなくすための国際デー (記念日 5月23日)
世界中で約200万人の女性や少女が、今この瞬間も産科瘻孔(Obstetric Fistula)と呼ばれる障害を抱えたまま生活しています。毎年最大10万件の新たな患者が生まれているにもかかわらず、その多くは発展途上国で適切な医療を受けられないまま、慢性的な尿失禁・便失禁に苦しみ、社会的孤立の中に置かれています。
産科瘻孔とは、閉塞性分娩において帝王切開などの適切な処置が行われない場合に起こる障害です。胎児の頭が母体の骨盤を長時間にわたって圧迫し続けると、組織が壊死して産道と膀胱または直腸との間に穴(瘻孔)が生じます。発症した場合、9割のケースで胎児が死亡するとされています。閉塞性分娩が多発するのは、サハラ以南のアフリカや南アジアを中心とした発展途上国です。15歳未満での婚姻・妊娠や慢性的な栄養不良により骨盤が十分に発達していない状態で分娩を迎えることが主な要因で、農村部など医療施設へのアクセスが限られた地域ほどリスクが高くなります。産科瘻孔が引き起こす尿失禁・便失禁は不快な体臭を招き、社会的な孤立やうつ病、経済的困窮につながります。治療を受けられなければ死に至ることもある、深刻な問題です。
一方で、産科瘻孔は予防可能であり、専門の外科医による修復手術で治癒できます。国連人口基金(UNFPA)は2003年から2024年にかけて約15万件の外科手術を支援し、1万5,000人の女性や少女の社会復帰を後押ししてきました。「産科瘻孔をなくすための国際デー」は、こうした取り組みへの意識向上と行動促進を目的として、2012年(平成24年)12月の国連総会で制定されました。毎年5月23日に観察されます。