ストッキングの日 (記念日 5月15日)
1940年(昭和15年)5月15日、アメリカの化学会社デュポン社がナイロン製ストッキングを全米一斉発売しました。この日だけで全国各地に行列ができ、初年度の販売数は6,400万足に達しました。
それまでアメリカのストッキング市場は、日本産の絹製品がほぼ独占していました。絹は光沢があり品質も高く評価されていましたが、ナイロン製が登場してからはその座を明け渡すことになります。ナイロン製ストッキングは絹より安価で耐久性も高く、一般女性にも広く普及しました。日米関係が緊張していた時期に重なったことも、日本製絹製品からの切り替えを後押しする要因の一つとなりました。
ナイロンを開発したのは、デュポン社の有機化学部門を率いていたアメリカの化学者ウォーレス・カロザース(1896〜1937年)です。彼はハーバード大学で化学を教えていましたが、デュポン社に招かれて基礎研究部門に参加しました。1935年(昭和10年)にナイロンの合成に成功し、世界初の合成繊維として特許を取得しています。カロザース自身は1937年に41歳で急逝しており、ナイロンが世界的な大ヒットとなる場面を見届けることはありませんでした。
当時のナイロンのキャッチフレーズは「石炭と水と空気から作られ、鋼鉄よりも強く、クモの糸より細い」というものでした。「ナイロン(nylon)」という名称は、伝線(run)しないストッキング用繊維を意図した「norun」が語源のひとつとされています。ただし、語源については複数の説があり、ニューヨーク(New York)とロンドン(London)の頭文字を組み合わせたという説も知られています。
合成繊維の歴史において、ナイロンの登場は一つの転換点です。素材の概念を「天然のものを加工する」から「化学的に設計・合成する」へと変えた点で、繊維産業にとどまらず現代の素材工学にも大きな影響を与えています。