ごいしの日 (記念日 5月14日)
世界で蛤碁石を産出できる地域は、現在ほぼ宮崎県日向市だけです。碁石用の蛤(ハマグリ)は日本各地の内湾に生息していましたが、乱獲と海岸環境の変化によって国内資源は激減し、現在は主にメキシコ産の蛤貝が原料として使われています。そのわずかな原料を加工し、最高品質の碁石を作り続けているのがミツイシ株式会社です。同社の前身である黒木碁石店は、1917年(大正6年)に創業者・黒木宗次郎によって日向市で創業されました。以来100年以上、蛤碁石の製造技術を守り伝えてきた同社が、2017年(平成29年)に制定したのが「ごいしの日」です。日付は5月14日、「ご(5)い(1)し(4)」の語呂合わせによるもので、日向市と那智黒碁石の産地・三重県熊野市とのパートナーシップ協定締結、そして創業100周年を記念して、一般社団法人・日本記念日協会に申請・認定されました。
製造工程のこだわりは徹底しています。原料の蛤貝を碁石の形に仕上げるまでに要する期間は約3か月、工程数は実に24段階にのぼります。機械化が進む現代においても、全ての石に職人が必ず一度は手を触れ、目で確認するという工程が維持されています。「碁石は人が使うもの。石と対話し、手打ちの意思を伝える石でなければならない」という創業以来の基本思想が、この工程を支えています。形や手触り、実用性と芸術性を追い求めた末に合格した石だけが出荷されます。
碁石の素材については、白石と黒石でまったく異なる素材が使われます。黒石は三重県熊野市周辺で産出される硬質粘板岩「那智黒石」が最高級品で、白石は蛤の半化石品が用いられます。練習用などの廉価品にはプラスチック製や硬質ガラス製もありますが、素材の触感や経年変化において天然素材との差は大きく、愛好家からは別物として扱われています。碁石は碁笥(ごけ)または碁器(ごき)と呼ばれる容器に収められ、黒白一対で一揃いとなります。
蛤の白石には「縞」と呼ばれる貝殻の生長線が見られます。この縞の細かさが品質の基準となっており、縞が非常に細かく密なものは「雪」、やや目の粗いものは「月」と呼ばれて区別されます。高品質な石ほど層が目立たず、長年使用しても層が剥がれたり変色したりしにくい特徴があります。囲碁や連珠(五目並べ)に使われる碁石は消耗品ではなく、丁寧に扱えば何世代にもわたって使い続けられる道具です。
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