竹酔日・竹植うる日 (記念日 5月13日)

竹酔日・竹植うる日

「竹が酔っ払って前後不覚になっているから、移植されても気づかない」——そんな奇妙な理屈が、旧暦5月13日を特別な日にしました。竹酔日(ちくすいじつ)は、中国の俗説に起源を持つ日で、この日に竹を移植するとよく根付いて繁茂するとされてきました。「竹迷日」(ちくめいじつ)という別名もあり、どちらも竹が正常な状態にないことを示しています。俳句では夏の季語として定着しており、「竹植うる日」という呼び名もよく使われます。ただし出典については諸説あり、「晋書」「斉民要術」「花傭月令」などが候補として挙げられるものの、現代の中国でも由来は必ずしも明確ではありません。日本では1499年の公家・三条西実隆の日記『実隆公記』にこの語の記載があり、室町時代にはすでに知られていた概念であることがわかります。

俳聖・松尾芭蕉は「降らずとも竹植うる日は蓑と笠」(笈日記)という句を残しています。「たとえ雨が降らずとも、竹を植えるこの日ばかりは蓑と笠を身につけて植えたいものだ」という意味で、竹植えという行為の晴れがましさ、儀式めいた雰囲気を詠んでいます。農作業をめぐる季節の慣習に芭蕉が美意識を見出した一句として、竹酔日を語るうえで欠かせない作品です。

竹は古来、日本の暮らしと深く結びついてきた植物です。建材、農具、食器、楽器——その用途は多岐にわたり、移植して増やすことは日常的な農作業のひとつでした。竹酔日という概念は、そうした実用的な作業に物語の衣をまとわせ、吉日に行うことで心理的な安心感を与える知恵だったとも言えます。科学的な根拠はないにせよ、この言い伝えは人々が自然と向き合う際の感性を示しています。