カクテルの日 (記念日 5月13日)
1806年5月6日、アメリカ・ニューヨーク州ハドソンで発行されていた週刊新聞「バランス・アンド・コロンビア・リポジトリ」に、「カクテル」という単語が初めて紙面に登場しました。その翌週の5月13日号で、編集長が読者からの問い合わせに答えるかたちで「カクテルとは何か」を文書として初めて定義しました。「酒(種類は何でも良い)に砂糖・水・ビターを混ぜた興奮飲料で、俗に『ビタースリング』と呼ばれる」——220年前に活字となったこの一文が、カクテル文化のすべての出発点です。
この歴史的な定義が印刷された5月13日を記念日とし、現在では「ワールド・カクテル・デー(World Cocktail Day)」としてアメリカをはじめ世界各国で広く知られています。一杯の飲み物の誕生日が、新聞の投書欄への返答という偶然の産物だったというのは、いかにも大衆文化らしいエピソードです。
日本では2011年(平成23年)に、日本バーテンダー協会(NBA)、日本ホテルバーメンズ協会(HBA)、プロフェッショナル・バーテンダーズ機構(PBO)、全日本フレア・バーテンダーズ協会(ANFA)の4団体が共同で5月13日を「カクテルの日」と制定しました。これだけ多様な団体が足並みを揃えて動いたのは異例で、日本のバー業界がこの記念日にどれほど本気で向き合っているかがわかります。制定後は各地のホテルやバーでイベントが開催されるようになり、カクテルを入り口にバー文化の裾野を広げる取り組みが続いています。
カクテルの定義は時代とともに拡張されてきました。今日では「ベースとなる蒸留酒やワインに、リキュール・ジュース・シロップ・ビターなどを組み合わせたアルコール飲料」全般を指します。1806年の定義にあった「ビタースリング」は現代でいうオールドファッションドに近い飲み物とされており、当時から形を変えながらバーのカウンターに生き続けています。220年の時間軸を感じながら、5月13日に一杯のカクテルを傾けてみるのも一興です。
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