ザリガニの日 (記念日 5月12日)

ザリガニの日

1927年(昭和2年)5月12日、神奈川県の養殖業者がアメリカ・ニューオーリンズから持ち帰った20匹のアメリカザリガニ。出荷時は100匹だったものが、長旅を経て生き残ったのは5分の1にすぎませんでした。行き先は鎌倉食用蛙養殖場(現在の岩瀬下関防災公園)で、目的はウシガエルの餌でした。

ところがアメリカザリガニは養殖池から逃げ出し、そのまま野生化します。繁殖力は旺盛で、年に2〜3回産卵し1回あたり数十〜数百個の卵を産みます。水質汚濁にも強く、酸素の少ない環境でも生き延びる適応力を持っています。1960年(昭和35年)頃には九州でも生息が確認されるまでになり、現在では沖縄を含む日本全国に分布しています。餌として連れてこられた生き物が、100年足らずで日本の水辺を席巻してしまいました。

生態系への影響は深刻です。水草を大量に切断し水生昆虫や小魚を捕食するため、池や川の環境を一変させます。さらにザリガニカビ病(Crayfish plague)と呼ばれる病原性卵菌を媒介し、日本固有のニホンザリガニに壊滅的な被害を与えます。ニホンザリガニは北海道と青森県の一部にしか生息しない希少種で、アメリカザリガニとの接触が生息域の縮小に直結しています。

2023年(令和5年)6月、アメリカザリガニは条件付特定外来生物に指定されました。販売・購入・輸入・野外への放流が原則禁止となり、違反した場合は個人で最大100万円の罰金が科されます。一方で、すでに飼育しているペットの継続飼育は認められており、子どもたちが釣って自宅で飼うことも引き続き可能です。ただし飼い切れなくなったからといって川や池に放すことは違法行為にあたります。同じ養殖場から逃げ出したウシガエルも、トノサマガエルやダルマガエルなど在来種を追いやり、アメリカザリガニとともに「日本の侵略的外来種ワースト100」に選ばれています。わずか20匹の持ち込みが引き起こした波紋は、100年近くたった今も広がり続けています。