五十音図・あいうえおの日 (記念日 5月10日)

五十音図・あいうえおの日

1093年、石川県加賀市山代温泉にある薬王院温泉寺で、明覚上人(みょうがくしょうにん)が「反音作法」と呼ばれる書を著しました。その中に記された仮名の配列が、現在の五十音図に近い構成をもつ現存最古の資料とされています。平安時代後期に山代温泉で生まれたこの配列が、私たちが今も当然のように使う「あいうえお」の順序の原点とも言えるものです。明覚上人は薬王院温泉寺の中興の祖で、当時38歳でこの書を残しました。「反音作法」は言葉の音を分析した研究書であり、仮名の体系化に大きく貢献した文献として国語学の世界でも注目されています。山代温泉が「五十音図発祥の地」を名乗る根拠は、この一冊の古文書にあります。

この歴史的背景から、山代温泉観光協会は5月10日を「五十音図・あいうえおの日」として制定しました。日付の「5月10日」は「五十(音)」に由来し、10日は明覚上人の月命日にも当たります。記念日は2021年(令和3年)に一般社団法人・日本記念日協会によって認定・登録されました。

記念日に合わせた活動として、山代温泉では「今年のにほんごコンテスト」を毎年開催しています。毎年テーマを設け、日本語のひと言で「いま伝えたい言葉」を全国から募集するコンテストです。2021年には温泉寺山門前に「あいうえおの郷」モニュメントも建てられ、記念日を体感できる場所として整備されました。

薬王院温泉寺の境内から萬松園へ続く石段は「あいうえおの小径」と呼ばれ、五十音が記された九谷焼の陶板が一枚ずつ石段にはめ込まれています。その小径を登り切ると、明覚上人を供養した五輪塔(国の重要文化財)が現れます。記念日の制定を機に、山代温泉では「山代あいうえ五十音図」も作成しており、日本語を学びたい子どもや外国からの旅行者にも五十音図の存在を伝える取り組みを続けています。