メイクの日 (記念日 5月9日)

メイクの日

「化粧する」を意味する「メイクアップ」という言葉は、もともと美容師の台詞から生まれました。ロシア系移民の美容師マックス・ファクター(1877〜1938年)が発した「Make Up(もっと美しい表情を)」という言葉が、次第に化粧全般を指す動詞として英語圏に定着したのだといいます。日常語となった言葉の裏に、一人の職人の哲学が宿っています。5月9日は「メイクの日」です。「メイ(May)ク(9)」という語呂合わせを日付の根拠とし、Japan Make-up Artist Network(JMAN)が制定しました。この日にちなんで、メイクアップアーティストによる社会貢献をテーマとしたメイクフェスティバルの開催や、介護施設でのメイクサービスの実施など、さまざまな活動が行われています。同じ語呂合わせで「チャリティーメイクの日」にも指定されており、メイクを通じた社会的なつながりを大切にする日として位置づけられています。

「メイク」はメイクアップの略であり、日本語で「化粧」を意味します。その起源をたどると、マックス・ファクターが1909年(明治42年)に設立した化粧品メーカー「マックスファクター(Max Factor)」に行き着きます。彼はハリウッド映画の黎明期に俳優たちへの美容アドバイザーとして活躍し、当時の荒い映画フィルムに対応したパンケーキファンデーションや、現在も使われるマスカラ、リップブラシなど多くの製品を生み出しました。舞台照明の下でも自然に見えるメイクを追求した彼の仕事は、化粧を特別な人のものから日常のものへと変えていく礎となりました。

日本における化粧の歴史は古く、古墳時代の埴輪に赤い顔料が塗られていた痕跡が残るほか、『古事記』や『日本書紀』にも化粧に関する記述が見られます。平安時代には白粉(おしろい)と引き眉、お歯黒が貴族女性の標準的な化粧として確立し、江戸時代には庶民にも広く普及しました。明治以降は西洋文化の流入とともに化粧品の工業化が進み、現在のような多様な製品が生まれる土台が整えられました。

現代において、メイクは単なる見た目の問題にとどまりません。介護の現場では、メイクによって利用者の意欲や生活の質が向上するという報告があり、リハビリとしての効果も注目されています。メイクの日に介護施設でのメイクサービスが実施される背景には、こうした知見があります。自分らしい表情を取り戻すことが、生きる活力につながります。そのことを、メイクアップアーティストたちは日々の現場で実証し続けています。