鯉のぼりの日 (記念日 5月5日)
「鯉が滝を登りきると龍になる」——中国の登龍門伝説に由来するこの言い伝えが、日本の子どもたちのシンボルとなる鯉のぼりを生み出しました。江戸時代、武家社会で男子の誕生を祝う風習として始まった鯉のぼりの掲揚は、やがて庶民にも広まり、今日まで続く日本の春の風物詩となっています。5月5日の「こどもの日」に合わせ、この伝統文化を次世代へ継承することを目的として制定されたのが「鯉のぼりの日」です。全国の鯉のぼりメーカーが加盟する「日本鯉のぼり協会」が提唱し、2017年(平成29年)に一般社団法人・日本記念日協会により正式に認定・登録されました。
日本鯉のぼり協会は1968年(昭和43年)に設立された業界団体で、現在の会員企業は14社。その生産量は国内の97%を占めています。協会は矢車やポールといった部品の規格統一・互換性の確保にも長年取り組んでおり、全国どのメーカーの製品でも組み合わせて使えるよう業界標準の整備を進めてきました。
鯉のぼりの色の組み合わせは、時代とともに変化してきました。本来は真鯉(まごい)と呼ばれる黒い鯉のみが用いられていましたが、明治時代に入ると緋鯉(ひごい)が加わり、二尾で掲揚されるスタイルが定着しました。さらに昭和時代になると、家族構成を表す青い子鯉が添えられるようになり、現在見られる黒・赤・青の三色組み合わせが主流となりました。家族の数だけ鯉が増えるという発想は、この記念日が単なる男の子の節句を超え、家族全体の祭りへと変容した象徴ともいえます。
端午の節句は、五月の爽やかな風が吹くころに訪れます。初夏の青空を背景に力強く泳ぐ鯉のぼりの姿には、子どもの健やかな成長と立身出世への願いが込められています。登龍門を目指す鯉のように、困難を乗り越えて大きく育ってほしいという親の思いは、江戸時代から現代まで変わることなく受け継がれています。
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