手話の日(手話記念日) (記念日 5月5日)
手話を使う手が左右それぞれ5本指を持つことから、5月5日を「手話の日(手話記念日)」とした——この命名の論理は、数字と身体の一致という、手話らしい視覚的な発想から生まれています。2003年(平成15年)、日本デフ協会が写真家の後藤田三朗(1956〜2012年)の提唱を受けて制定しました。その記念日が生まれた2003年は、手話が「言語」として法的に認められるより8年前のことです。2011年改正の障害者基本法が「言語(手話を含む)」と初めて明記するまで、手話は長らく福祉的な「コミュニケーション手段」に留め置かれていました。制定者たちは、法整備に先んじて手話の言語としての地位を社会に問いかけていたことになります。
手話は、大きく「手指動作」と「非手指動作」の二層から成り立っています。手指動作が語の意味を担う一方、非手指動作——視線・眉・頬・口・舌・首の傾きや動き——が文法的な役割を果たします。たとえば眉を上げながら発話すれば疑問文、眉を下げると条件節を示すといった具合です。音声言語で言うイントネーションに相当するものが、顔全体の表情に分散されているわけです。
語彙の基本となるのは、五十音やアルファベットを表す「指文字」と、名詞・動詞・形容詞などの「単語手話」です。「山」「犬」「走る」のように形や動きに由来する表現もあれば、健聴者が日常的に使う身振りと重なるものも少なくありません。日本では「男」を親指、「女」を小指で示すのが典型例で、社会的に共有された身体感覚が言語に取り込まれています。
日本には「日本手話」と「日本語対応手話」の2種類があります。日本語対応手話は日本語の語順に沿って手話単語を当てはめる方式で、主に中途失聴者が習得しやすいとされます。
これに対して日本手話は、独自の語順と文法体系を持つ独立した言語です。たとえば「私はリンゴが好きです」を日本手話で表すと、語順は「私・好き・何かというと・リンゴ・私(指さし)」という構造になり、日本語とは大きく異なります。両者は語順だけでなく、文法の仕組み自体が別の言語と言えるほど隔たっています。