ノストラダムスの日 (記念日 5月4日)

ノストラダムスの日

「1999年、7の月、空から恐怖の大王が来るだろう」——この一節は、20世紀後半の日本で多くの人々に恐怖を与えました。フランスの医師・占星術師ミシェル・ド・ノストラダムス(1503〜1566年)が著した予言集『百詩篇集』(原題:Les Prophéties)が初めて出版されたのは1555年3月1日のことです。この日を記念して「ノストラダムスの日」とされています。

『百詩篇集』は4行詩(カトラン)を集めた予言書で、難解な比喩と象徴的な表現で書かれています。出版当時から注目を集めましたが、日本でこの予言集が爆発的な関心を呼んだのは20世紀後半のことです。1973年(昭和48年)、作家・ルポライターの五島勉が祥伝社から『ノストラダムスの大予言』を出版しました。これはノストラダムスの伝記や逸話を交えながら『百詩篇集』を独自に解釈したもので、当時の日本でベストセラーとなりました。公害問題や高度成長のひずみによって将来への不安が広がっていた時代背景も、この本の普及を後押しした要因のひとつです。

同書がとりわけ強調したのが、第10巻72番の詩でした。「1999年、7の月、空から恐怖の大王が来るだろう、アンゴルモワの大王を蘇らせ、マルスの前後に首尾よく支配するために」——五島はこれを1999年7月の人類滅亡を予告したものと解釈し、広く流布しました。翌1974年(昭和49年)には東宝がこの著書を原作とした同名映画を制作・公開し、文部省推薦作品にも選ばれています。

1999年が近づくにつれ、テレビや雑誌ではこの予言の解釈をめぐる特集が繰り返し組まれました。「恐怖の大王」の正体については、隕石の衝突、核兵器の使用、深刻な環境汚染、世界的な疫病の流行など、さまざまな説が唱えられました。しかし結果として1999年に世界規模の破局は起こらず、予言は外れたとする見解が一般的となっています。

この一連の「ノストラダムス・ブーム」は、予言そのものの真偽よりも、不安な時代に人々が未来の見通しをどのように受け取り、社会的に拡散させていくかを示す興味深い事例として、現在も語り継がれています。