国際消防士の日 (記念日 5月4日)
1998年12月2日の夜、オーストラリア・ビクトリア州の小さな町リントン近郊で、突然の風向きの変化が消防士たちを炎の中に閉じ込めました。ジーロング・ウェスト消防団のクリストファー・エバンス、ジェイソン・トーマス、マシュー・アームストロング、スチュアート・デイビッドソン、ゲーリー・フレーデベルトの5名が、逃げ場を失ったまま命を落としました。この惨事を将来の教訓とするため、翌年に「国際消防士の日(International Firefighters’ Day:IFFD)」が制定されました。毎年5月4日がその日にあたります。
制定にあたって結びつけられたのが、消防士の守護聖人とされる聖フロリアヌスの聖名祝日です。聖フロリアヌスは3世紀のローマ帝国時代の人物で、現在のオーストリア・エンス近郊に駐屯していた軍人でした。彼は消防隊を組織し、火災から地域を守ったとされています。ヨーロッパでは古くから「消防士の日」として聖フロリアヌスの祝日が親しまれており、この伝統が国際的な記念日の基盤となりました。
聖フロリアヌス十字は、職員・消防団員を問わず消防関係者の紋章として世界各地で使用されています。
「国際消防士の日」のシンボルは赤と青のリボンです。赤は火、青は水をそれぞれ表しており、消防活動の本質を色で示しています。また赤と青は国際的に緊急サービスを意味する色としても認識されているため、このリボンは世界共通の追悼のしるしとして機能しています。記念日当日には、このリボンを身につけて消防士への敬意を示す習慣が各国で広まっています。
この日は、命を落とした消防士を悼むとともに、現在も各地で活動を続ける消防士や消防組織への理解を深める機会とされています。リントンの山火事が問いかけたのは、強風や急変する気象条件の中で活動を続ける消防士たちが、どれほどの危険に日常的にさらされているかという現実でした。5名の名前は記念碑に刻まれ、今もビクトリア州の人々に記憶されています。